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お店の美品の試奏用ストラト、Lennyもどき君の配線を改造

試奏用ストラト、Lennyもどき君の配線を改造

これまでノーマル配線だった上写真のLennyもどき君、元々、太い弦の弾き心地を試したいただくための試奏用や、部品交換などの実験用としてお店に常備していたのですが、弦交換の時期なので、弦交換と基本メンテを実施。そして、ついでにストラトのポピュラーな配線改造の音を試していただく場合や、部品交換の実験をやりやすくするために以下の改造を施しました。

①ボリューム&トーンのバイパススイッチ増設

➁フロント+リア、フロント+センター+リアのハーフトーンも出せるようにアレンジ

③フロント+センター、センター+リアのシリーズ接続(ハムバッキングサウンド)も出せるようにアレンジ

ストラトにスイッチを増設して、➁や③の音も出せるという改造は非常いポピュラーです。多くの場合、ミニスイッチとボリューム/トーンのPOTが一体になった「スイッチポット」を使った方法、あるいはミニスイッチを増設する方法が多くとられていると思いますが、今回は「外観はストラトのまま」を条件にミニスイッチではなくポールリードスミスやギブソンのES345のバリトーンスイッチなどに使われている「ロータリースイッチ」を使用してこの改造を実施しました。

左から今回使用したロータリースイッチ、よく使われるプッシュプルスイッチ付きPOT、ミニトグルスイッチ、ミニスライドスイッチ。

左から今回使用したロータリースイッチ、よく使われるプッシュプルスイッチ付きPOT、ミニトグルスイッチ、ミニスライドスイッチ。

ロータリースイッチの端子の多さ!これ一つで他のミニスイッチを複数使わないとできない機能を持たせることが可能。配線は大変ですが・・・

ロータリースイッチの端子の多さ!これ一つで他のミニスイッチを複数使わないとできない機能を持たせることが可能。配線は大変ですが・・・

見た目はストラトのコントロールですが、中身は別。上からボリューム、マスタートーン(プルでボリューム・トーンをバイパス)、PUの接続切り替えの3点切り替えロータリースイッチ。ノブは通常のToneのものを使っています。

見た目はストラトのコントロールですが、中身は別。上からボリューム、マスタートーン、PUの接続切り替えの3点切り替えロータリースイッチとなっています(見た目はToneのまま)。ロータリースイッチは「ハムバッキングサウンド(シリーズ接続)」⇒「ノーマルストラト」⇒「ノーマル配線では出せないハーフトーン」となっています。「モード切替」のようなイメージでとらえていただくと分かりやすいかと思います。

今回使用したロータリースイッチは3段階切り替えのタイプ。真ん中のポジションをノーマルにして、左右にバリエーションを配しています音のバリエーションは下表の通り。

5Way Position Rotary Switch Position 1

Fat Tone Mode(ハムバッキングモード)

Rotary Switch Position 2

ノーマルモード

Rotary Switch Position 3

Bell Tone Mode

(ハーフトーンモード)

1 F⇒C

ハムバッキング

F

シングルコイル

F

シングルコイル

2 F+Rハーフトーン)⇒Cハムバッキング F+C

ハーフトーン

F+C

ハーフトーン

3 C⇒R

ハムバッキング

C

シングルコイル

F+C

ハーフトーン

4 C

シングルコイル

C+R

ハーフトーン

F+C+R

ハーフトーン

5 C

シングルコイル

R

シングルコイル

F+R

ハーフトーン

F・・・フロントピックアップ

C・・・センターピックアップ

R・・・リアピックアップ

+・・・パラレル接続

⇒・・・シリーズ接続

上表のハムバッキングモードはよく使われるミニスイッチやスイッチポットの場合は「F⇒Cのハムバッキングサウンド」⇒「Cのシングル」⇒「Cのシングル」⇒「Cのシングル」⇒「C⇒Rのハムバッキングサウンド」という組み合わせが多いと思います。ロータリースイッチでも同じ配列にできますが、「Cのシングル」が3ポジションも重複してしまうのはせっかくの5way switchの機能が生かし切れていないし、演奏上もちょっと使いにくいので、今回はできるだけサウンドバリエーションを多くすることと、5way Switchでのポジション選択でリア側のポジションではストラトらしいトレブルの効いたサウンドも使えるように上表のようにアレンジ。試しに弾いてみたところ結構扱い易かったです。2番目の「(F+Rハーフトーン)⇒Cハムバッキング」の音は言ってみれば「シングルコイルのハーフトーンとハムバッキングの両方の特長を持ったサウンド」です。もともと狙った音ではなかったのですが意外と面白い音で、演奏の中でも生かせそう。疑似的に2ハムのギター的に使う場合は1,2,3番が通常の3wayスイッチの2ハムギター的に使うポジション、お得なおまけとして4,5番でシングルコイルの音も出せるという感じでしょうか。名付けてFat Tone Mode 。

動画も撮ってみました。まずはノーマルモード⇓

 

次にFat Tone Mode。太いハムバッキングサウンド⇓

 

ハーフトーンモードの方はストラトで最も良く使われると思われるフロントのシングルサウンドだけは残して他の4ポジションがハーフトーンとなるようにしました。5Wayの1,2番の音は通常のストラトと同じ。3番は2番と同じで、4番は常のストラトのハーフトーンよりもより煌びやかさが増したそれが出せます。5番はテレキャスターのセンターポジションのような音。名付けてBell Tone Mode。

 

ロータリースイッチは演奏中に積極的に切り替えるのは慣れないと難しいので「ロータリースイッチは曲に合わせたモードをあらかじめ選択してそのモードで一曲弾く。曲に合わせてモードを選ぶ」という方向性のアレンジです。なのでBell Tone Modeでは全部のポジションをハーフトーンにする配線ではなく、よく使うシングルコイルのポジションも選べるようにしていた方が演奏上は有利なので、今回はフロントのシングルも出せるようにしたのですが、これはアレンジによってセンター、リアのシングルサウンドを出せるようにもできます。ミニスイッチを使う場合もそうなのですが、こういった改造はサウンドバリエ―ションはかなり増やせるのですが、改造後、意外と使いにくかったり、実際に使うサウンドがノーマルの時と変わらないといった事にもなりがちなので、改造の前に「どういう使い方をするか」を想定して、自分にとって使いやすい仕様を考えておくと失敗は少ないと思います。

トーンノブを引っ張るとボリュームとトーンがバイパスになります。POTや配線などの電気部品の比較検討のために持たせた機能です。

トーンノブを引っ張るとボリュームとトーンがバイパスになります。POTや配線などの電気部品の比較検討のために持たせた機能です。

マスタートーンにはプッシュプルスイッチ付きのPOTを使用してノブを引っ張るとボリュームとトーンがバイパスします。これは演奏上のメリットを考えた機能ではなくて、以前作った外付けの機器を使って電気部品の比較実験を行うために追加した仕様です。キャパシタの比較や配線材の比較なんかに役立てようという目論見。