2013年製のSG70's Tributeのメンテ中。

2013年製のSG70’s Tributeのメンテ。

近年のGibsonの中では低価格のモデル、SG 70’s Tributeのメンテナンスを行いました。2013年製でピックアップがDirty Fingers、24フレット、ピックガードなし、非常に簡易的な塗装というのが特長でしょうか。非常に軽量で弦を張った状態でも2.95kg弱しかありません。コストカットを兼ねた簡易的な塗装は極薄でもあるので木材の特性も出やすいでしょう。そのためかGibsonのソリッドギターとしては生鳴りが元気でレスポール系のモデルとはだいぶ弾いた感触も違っています。Gibsonとしてはスチューデント向けのラインナップと考えているような気はしますが、しっかり調整すればベテランのプレイヤーにも満足できる一本なのでは・・・以前も近いモデルを扱ったのですが(ご興味ある方はこちら参照 ⇒ SG Special 60’s Tribute)そちらも合わせて音の満足度は高くて、変な比較になってしまいますが個人的にFenderのRoad Wornシリーズのようなイメージを持っています。

木部の仕様だけでなく、電気系も基盤やクイックコネクトのPU取り付けなどを駆使して作業の合理化をしています。

木部の仕様だけでなく、電気系も基盤やクイックコネクトのPU取り付けなどを駆使して作業の合理化がされています。

今回はかなり使用感のある固体だったので気合いを入れてクリーニング。ギターの心臓部、ネックですが、指板はあまり手入れされたおらず脂気が抜けてしまいかなり荒れた状態でした。フレットの減りはそれほど多くはないものの曇っており、手垢が固まっている部分も散在していました。当然ビブラートやチョーキングがやりにくく、そのまま弾き続けるとフレット減りが早まりやすいですし、見た目も×という状況でしたが、しっかり蘇らせました。

指板はこの通り。前オーナーさんは指板のケアはできていなかったようでかなり荒れていました。指板にこびりついた汚れを清掃、専用オイルで保湿処理、フレットを磨いて写真右側のようになっています。フレットを磨くのは非常に大事でギターの弾き心地が全く変わります。

指板はこの通り。こびりついた汚れを取り除き、荒れた部分をならした上で専用オイルで保湿処理。さらにフレットを磨いて写真右側のようになりました。幸いフレット減りはそれほどでなく、トラスロッドも十分な余裕がありいい状態にできました。ギター本来のポテンシャルを引き出すのに「フレット磨き」はとても重要です。

ピックアップにも汚れがこびりついていました。これぐらいの付着汚れだとちょっとポリッシュで拭いただけでは落ちないので研磨剤なども併用して時間をかけて落としました。

ピックアップの汚れは頑固にこびりついていて、ポリッシュで拭いただけでは落ちないので研磨剤なども併用して時間をかけて落としました。

写真ではわかりにくいですがペグにも汚れが付着していました。PUと同じように研磨剤も使用してきれいにしました。

写真ではわかりにくいですがペグにも汚れが付着していました。PUと同じように研磨剤も使用してきれいにしました。

Beforeの写真を撮り忘れてしまったのですが、ブリッジ周りのメッキ部分も汚れが結構付着していました。これも研磨剤を併用してクリーニング。

Beforeを撮り忘れてしまったのですが、ブリッジ周りのメッキ部分も汚れが結構付着していました。これも研磨剤を併用してクリーニング。

本日最後の作業、弦を張って調整。あとはネックの様子をみて問題なければ売りに出す予定です。

弦を張って調整。あとはネックの様子をみて問題なければ売りに出す予定。

今日はさらに弦を張ってネック調整、オクターブ調整、弦高調整、PU高調整まで済ませました。このままネックの反り具合に問題が出ないかしばし観察してから出品の予定ですが、John Sykes大好きの私としてはDirty Fingersを試さないわけにはいきません。早速音を出してみましたが・・・

ハイパワーでSykesのようなメタリックな歪サウンドはもちろんお手の物でした。でも意外だったのはクリーンが結構気持ちが良かったこと。音出しする前は「生鳴りがあるギターなので57Classicに載せ替えたら面白いかも」なんて思っていたのですが、Dirty Fingersのクリーンも結構自分好みで楽しく弾けました。トーンを絞った音がイイ感じ。ジャズなどにも使えそうです。ハイパワーなPUはクリーンがイマイチなものが多いイメージがありますが、意外に使えるDirty Fingers!

という事でクリーンでのサウンドチェック動画です。アンプはFender Vibro King(EQはすべてセンター)です。

 

表題のギタリスト竹内さん愛用のGibson Flying Vのメンテ(PUの交換と指板清掃、フレット磨き、他基本的な調整)を当店で任せていただきました。調整完了したギターを今日お店の機材で試していただいたのですが、その演奏がシェンカー節バリバリですごかったので動画を撮らせていただきました。

これだ⇓

竹内さんの演奏を見ていて気付いたのが、「ペンタトニックフレーズで中指チョーキングが頻出」ということです。例えばよくあるペンタトニックの1~3弦ボックスポジションで2,3弦のシンクロナイズドチョーキングを織り交ぜたフレーズですが、薬指のチョーキングを使用する人が多いと思います。僕自身そうなのですが、これは「異弦同フレットは同じ指を使用する」というフィンガリングが視覚的には合理的に思えるからだと思いますが、竹内さんに教えていただいたところ例えば2弦8フレット1音チョーキング、1弦5フレット、1弦8フレットをハンマリング+プリングのようなよくあるぺンタフレーズでシェンカーは2弦8フレットを中指(通常はここを薬指にする人が多い)でチョーキング、1弦8フレットは薬指でこなすことが多いそうです。シェンカーファンからは「そんなことわかってるぜ」といわれてしまいそうですが、僕は今日この事を学びました。もっとも中指でチョーキングするのは慣れていないですし、ストレッチ気味にもなるので鍛えないと竹内さんのようにはいかないと思います。竹内さんが帰られた後早速やってみたのですが、10年ぐらい練習積まないと・・・薬指を多用するフィンガリングに比べると同じ音使いでももっと滑らかなニュアンスにもなるように思います。これは取り組んでみたい課題!

上の動画で使用している機材はいつものデモ動画と同じで、Fender Vibro Kingクリーンセッティングで歪はWEEHBO Effekte JTM Driveの歪をメインに、Xotic BB Preampでゲインブーストしています。単純にプラグインしただけでEQはいじらずに弾いています(アンプもペダルもすべてフラットなまま)。ピッキング・フィンガリングともにしっかりコントロールできないと結構トレブリーになりがちなセッティングなんですが、それでここまで演奏できるのはうらやましいです。やっぱり手が大事なんですねぇ。

竹内さんは現在Significant Pointというパワーメタル系のバンドと、Barbatosというパンク・スラッシュ系のバンドに参加されています。Significant Pointではコンポーザー&ギタリストでCD発表の予定もあるとのこと。Barbatosは90年代から活躍しているバンドでCDも何枚か発表しているのですが、竹内さんが合流してからのCDもあるそうですのでご興味ある方は是非チェックを!

Significant Pointサイト ⇒ http://nanos.jp/significantpoin/

Barbatosの音源⇓

 

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フレット擦り合わせでお預かりしたGibson Memphis 1959 ES-335。Faded Cherryの色合いとメイプルの木目が渋いです!

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この色合い、木目・・・渋い!!

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キャパシタはバンブルビーのレプリカ。

こちらは音詰まりやビリツキなどの症状があって持ち込まれ、フレット擦り合わせをさせていただいたGibson ES-335。MemphisのHistoricシリーズの59年タイプとのことで、ヴィンテージに忠実な仕様になっています。

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フレットの高さの不揃いがビリツキ、音詰まりの一因になっていたので、それを軽減させるためにフレット擦り合わせをさせていただきました。元々は1弦12フレットが1.7mmくらいのセッティングで1弦ハイポジションで1音以上チョーキングすると音が詰まる感じで、ビリツキは巻弦のハイポジションで出る感じでした。擦り合わせ後は1弦12フレット1.3mmくらいでも症状は出なくなりました。

335タイプのセミアコではこれまで中古販売もメンテナンス依頼品も010~046のゲージの弦が多かったのですが、今回は009~042。メンテが完了してからサウンドチェックをさせていただいた際の印象では010~に比べるとかなり軽やかな音・弾きごたえのように思いました。弾いていて改めて思ったのですが、太い弦は弦を押さえるのもベンドするのもより強い力が必要なので弾きにくいイメージが持たれがちですが、実は細い弦の方が難しいところもあると思います。それはピッキングの強弱。太い弦はかなりダイナミックに強弱をつけても大丈夫で、言い換えれば「強弱は付けやすい」といえます。ところが細い弦はある程度以上のピッキングの強さだと強弱の変化がわかりにくくなり汚い感じになりがち。かといって強弱のニュアンスを付けられないのではなくより繊細なピッキングコントロールが必要という感じでしょうか。手首の繊細なコントロール、柔らかさが重要なように思います。

そういうわけで今回のES-335は009~042が張られているというのが一つのミソでした。

サウンドチェックです。まずクリーン。最初のDonna Leeではフロント側でトーンを半分くらいに絞っています。

次にドライブサウンド。

 

ギブソンのミディアムスケールだと009~のゲージはかなり緩いテンション(Fenderのレギュラースケールに008~を張った時くらい)になるのですが、それに合わせたピッキングをするのが僕には少し難しいです。それだけ僕の手首が固くて柔らかいテンションに対応しきれていないという事なのだと思います。今日は良い勉強になりました。

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お客様がご自身でパーツを組み立てた小ぶりなコンポーネントストラトタイプ。

上の写真、当店のお客様ご自身がパーツを集めて組み立てたギターです。フレット交換・ナット交換のみ当店でやらせていただいています。

ボディは少し小さめのストラトシェイプ。ネックはオークションでゲットしたという66年製のムスタングのネック。小さなボディにショートスケールのネックを合わせるというアイディアが面白いです。ブリッジはウィルキンソンですが、ボディがもともと別のスケールのネックに合わせられていたものだったそうでご自身で弦長を測ってウィルキンソン取り付けのスタッドも付け直しています。おの作業は結構シビアなのですが、音程も問題なくできています。写真をみると元々はフロイドローズタイプのトレモロが搭載されていたボディでそのスタッドの穴も残っているのがわかります。PUはJoe Burdenをボディに直付けしています。カバーをかぶせているので見た目はLace Sensorみたいです。小ぶりなボディのせいかシングルサイズPU2発で見た目のバランスもイイ感じです。

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お客様ご自身が取り付けたウィルキンソンのトレモロ、Joe BurdenのPU。元々は2ハムだったボディですが、特にそれを隠すことをせずにそのままシングルサイズのPUを直付けしているのが男前です!

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ネックは豪華に66年製のMUSTANGのもの。ボディに組み込んだ時の見た目のバランスもとれていていい感じです。フレット交換とナット交換のみ当店でやらせていただきました。

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ペグはGOTOHのマグナムロック。ポストの高さも調節できるタイプでストリングリテイナーは取り外されています。

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ちょっとわかりにくいですが、このボディ、ネック取り付け部分はスラントになっていてハイポジションの演奏性が高められています。電気は手持ちのパーツで組み立てたそうです。特に特別なところはないですが、トーンのキャパシタはプッシュプッシュスイッチで選べるようになっています。

「小ぶりなストラトタイプをパーツを集めて作ってみる」というのがこのギターのオーナーさんのコンセプトだと思いますが、とても面白いギターに仕上がっていると思います。今日お客様が引き取りに来る予定だったのですが、その前に少し遊ばせてもらいました。

自分でブリッジを取り付けるのはしっかり弦長を把握して正確な位置決めをする音が必須でハードルの高い作業ですが、こちらは音程もちゃんとしています。トレモロの安定性も申し分なく、市販のシンクロタイプのトレモロと同じような感覚で演奏できました。こういう世界に一本しかないギター、楽しいですね!

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昨年暮れにメンテナンスしたスキャロップのストラト、本日サウンドチェック。

トラスロッドが回し切られた状態で激しく順反りしてしまっていた上の写真のストラト、フレット擦り合わせで出来るだけ弾きやすさを獲得すべく、昨年末に作業を終えていました。年明けの営業初日にネックの状態を確認したところ、ほんのわずかに順反り側に変化がありましたが微妙な量でトラスロッドをほんの少し絞めて今度は一日後に確認(一度締め切ったトラスロッドですが、擦り合わせによって絞める余地を少し復活させています)。今度は変化は見られません。念のためもう一日様子を見ましたが大丈夫そうです。預かった時は09~046の弦ですが、念のため09~042に変更もしています。元々は1弦12フレットで3mmほどの弦高でそれでも音詰まりがありましたが、なんとか1.5mmくらいまで下げることができました。

サウンドチェック⇓

アンプはFender Vibro Kingでクリーン設定、歪はWEEHBO Effekte JTM Drive、Xotic BB PreampでゲインブーストしさらにBB Preampの歪もほんの少し混ぜています。

 

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Yngwie MlmsteenのCandy Apple Redを思わせるショップオーダーのストラト。スキャロップネックの順反り他のメンテで入院しています。

上の写真、「ネックが強い順反り状態でトラスロッドがいっぱい」「かなり弦高を上げてもビリツキやつまりが多発」という症状で当店に入院したスキャロップネックのストラトです。

「スキャロップネックは反りやすいのではないか・・・」という都市伝説があります。実際問題として特にイングヴェイタイプは指板を深くえぐっているのでノーマルに比べれば弱いと考えて差し支えないと思います。ただ、極端に弱いというよりは「比較的弱い」といった程度でやはり実使用上はちゃんと調整すれば問題はないと僕は思っています。

でも、今回入院のこの子はオーナーさんが中古で購入した際の調整で「トラスロッド絞めきりました」との宣告を受けていて、その後しばらくしてから見るとさらに激しく順ゾりしてしまった・・・つまりトラスロッドではもう調整できないという状態でした。なぜ反りが激しく進行したかがよくわからないので今後の保管に最新の注意を要するのは言うまでもありませんが、とにかく出来るだけ弾きやすさを取り戻したいという意向で持ち込まれました。僕もこのタイプのギターが大好きで以前パーツを合わせて組み立てたこともあり思い入れもあります。

先日のネックねじれの時と同じく、指板修正はかなりコストと時間がかかるので見送り、まずはフレットの擦り合わせでできる限り弾いやすい状態にするという事にしました。他にブラスナットの溝がダメになっていたのとサドルの幅が広いものが使われていてブリッジに合っていなかったのでこれらを交換することに。またサドルはトレモロプレートに近すぎるのも気になる点でした。

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フレットの頂点がローからは今でまっすぐになるように擦り合わせ。当然ローとハイのポジションが多めに削ることになります。写真はまずは高あお揃えたところ。1フレットと21フレットはかなり削ってあるのがわかります。

幸いにもミドルポジションはほとんど摩耗がなく、高さのあるジャンボフレットであること、さらにスキャロップネックでフレット自体の高さが低くても弾きやすさはそれほど変わらないので、思い切って削っています。仮にノーマルネックでビンテージスタイルの細いフレットではこの対応はできなかったと思います。

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フレット頂点の高さを揃えてから平らになってしまったフレットのエッジを削って形を整えて仕上げ研磨まで済ませたところ。ぱっと見で違和感はないと思います。

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左はローポジション。右はミドルポジション。フレットの高さが違うのがわかると思います。

ここまででとりあえずフレットの頂点がまっすぐにできました。もちろん、擦り合わせ前にトラスロッドも調整しなおして、弦を張った後の調整の余地が残るようにしています。次にナットですが・・・

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左写真:ナットの溝に分厚く接着剤が固まっていました。 右写真:指板のRは9.5inchなのですがオリジナルのナット底のアールは7.25inchできつめです。溝の底に接着剤の塊があることからナットのアールと溝底のアールがあっていないことが疑われました。

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溝の接着剤を取り除いて(左写真)底のRを確認したところ12inchくらい。確認が難しい箇所なのでアールの合わないナットを取り付けてしまいがちなのだと思います。付けた後ではわかりませんし。なので、新しいブラスナットの底は12inchで制作しました(中写真)。そしてナットを取り付けて弦の溝を切り、仕上げまで済んだのが右写真。

 

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下がオリジナルのブリッジ。上が今回交換に用いたRaw Vintageの10.8mm幅。下の方が少し幅が広くお互いに干渉するような感じになっていました。

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元々、弦高を調整するとサドルがトレモロプレートにかなり近くまで下げても弦高は高めになる固体でした。幅の合わないサドルがついていることもそうですが、この事もビリツキが多発する要因になっていたと考えられます。今回はネックポケットにメイプル材で作ったシムを仕込んでネック取り付け角度を調整、これで、弦がサドルを押さえる力も上がり以前よりも安定度が増したと思います。

 

 

サドル、ナットも取り換え、ネックポケットにシムを仕込んでネック角度を調整し、弦も張って(09~042)最初の弦高調整、オクターブ調整を行いました。弦高はとりあえず標準的な高さにしましたが、もう少し低くする余地もありそう。このブログを書いている今の時点ではネックは(正確にはフレットの頂点は)ストレートを保っています。ただ、お預かりした時にオーナーさんから聞いた話から、まだまだ変化する懸念も捨てきれないので、普段は一日開けて再調整のところを今回は年明けの営業日までこの状態で保管して、改めて調整をします。その時までにどれくらいネックが動くかは今後の保管方法を考えるうえでも重要な判断材料になるかと思います。

ここまでで本年の作業はすべて完了です。

今年も多くの方にHeavy Gauge Guitarsをご利用いただきまして誠にありがとうございました。このブログを見てくださっている方がにも感謝です。2017年は1月4日から営業開始予定です。今日紹介したスキャロップストラトがどうなったかは来年の最初のレポートで御紹介したいと思います。

では!

 

 

 

 

 

 

極端に片側が順反りとなっていたネックをメンテ。

極端に片側が順反りとなっていたネックをメンテ。

上のギター、「ネックの6弦側が順反りになっている」という症状で持ち込まれたギターです。実際に確認させてもらったところ1弦側は反りはわずかなのに対し6弦側は極端な順反り、トラスロッドを絞めるとその順反りは弱まるものの今度は1弦側が逆反りに・・・つまり「ねじれている」状態でした。上写真はメンテが完了した状態で、弦高も低めにセッティングできる状態にまで復帰していますが、預かった時はかなり高い弦高でも音詰まりなどが出る状態でした。

テクニカルな速弾きが華のHeavy Metal全盛時代に台頭した「極めて薄く平べったいネック」で、指板の修正で対処すると削る量が相対的に多く強度の変化が出そうで怖い上、ナット部分の修正とフレット打ち替えも加わってかなり費用がかさんでしまいます。ネックアイロンという方法もありますが、これっだけ薄いネックだと矯正してもリバウンドが出やすいようにも思いました。予算もできるだけ抑えたいというお話でもあるのと、「後でやり直しが出来る」という点で今回はフレットの擦り合わせだけでできる限り修正を加えてみることに。幸いフレットはジャンボサイズで高さに余裕がありました。しかし、削る量が一番少なくなるようにネックを調整した状態でも結構な順反りが低音弦側にあり、高音弦側もミドルポジションは結構削る必要がありました。

以下2枚の写真は実際にフレットを削り高さを合わせている途中。

ローポジション側。6弦側に行くほどフレット頂点の幅が広くなっているのはそれだけ低くなっているから。

ローポジション側。6弦側に行くほどフレット頂点の幅が広くなっているのはそれだけフレットを削っているから。1フレットの1弦側と6弦側に0.3~0.4mmくらいの(指板に対しての)高さの差が出来ています。

ハイポジション側。24フレットは1フレットと同様の高さの差があります。

ハイポジション側。24フレットは1フレットと同様の高さの差があります。

写真はないのですが、ミディアムポジションは上の2枚の写真と逆で1弦側が低く、6弦側が高いという状態。ただ、ローとハイほどの差はないようにしています。

擦り合わせは高さを合わせてフレット頂点を削り落とすだけではフレットの頭が平らになりすぎるので角を落とす加工も加えます。この写真はその作業まで終えたところ。

高さを合わせてフレット頂点を削り落とすだけではフレットの頭が平らになりすぎるので角を落とす加工も加えます。この写真はその作業まで終えたところ。上から見たところでは違和感はありません。

ローポジションでの1弦側と6弦側のフレットの高さの違いがわかるでしょうか。

側面から見るとローポジションの1弦側と6弦側のフレット高の違いがわかります。

フレットの頂点はほぼ揃っていますが、ただでさえ多い削る量を抑えるために頂点を完全にそろえるのではなく6弦側は若干の順反りが残る程度(標準的なネックの状態の範囲内)を狙いましたが、その通りに出来上がっています。それでもかなり1弦側と6弦側でフレットの高さが異なっていますが、太い弦の方がフレットがある程度低くなっても違和感を感じにくいので出来上がった状態で弾いて違和感なく仕上がりました。ミドルポジションは高さが極端に変わると違和感が出やすいと考えられるので、予めできるだけ差が少なくなるように調整していてこれも違和感なく弾けるようにできたかと思います。

・・・と、「すり合わせだけで結構何とかなるゼ!」といった感じでレポートしてしまいましたが、今回はジャンボフレットであまり極端な摩耗はなかっただったことと、トラスロッドが効いたこと、使用する弦が比較的緩めのテンションの弦(09~42)だからできたことで出来たことだと言えるかも。仮に高さが低く細いビンテージスタイルのフレットだった場合はやはり指板の修正までしないと難しかったと思います。

今回の作業を終えて今日で3日目ですが、その間レギュラーチューニングのままでネックの状態も良好、今日必要ならもう一度ネック調整するつもりでしたがその必要もなく安定しています。弦高は1弦12フレット1.1mmくらいで、3弦のアームアップ2音から2音半で弦がフレットにぶつかるくらい。激しいアップをしないならもう少し低くする余裕もありますが、お預かりした時の状態を考えるとすでにかなり低くなっているのでこの状態で持ち主さんに試してもらいます。

 

昨日オーバーホールを完了したYAMAHA SL550S、先ほど最後の調整を完了して音出し確認。まずはクリーン。

ドライブサウンド。

オーバーホール内容は以下をご参照ください。

80年代製造 YAMAHA SL550S レスポールモデルのオーバーホール①

80年代製造 YAMAHA SL550S レスポールモデルのオーバーホール➁

80年代製造 YAMAHA SL550S レスポールモデルのオーバーホール③

弦はDaddario EXL110 (010~046)。SGシリーズでもおなじみのバイサウンドシステム(コイルタップ)搭載が特長でもあるので、動画中ではそのコイルタップサウンドも試しています。

通常のレスポールタイプとは異なり、ボディ材はマホガニーではなくアガチスがバックに使われていてトップはメイプルになっています。ネックはカタログ上ではメイプルなのですが、今回オーバーホールした本機についてはマホガニーかそれに近い材だと思われます(木目がそうなので)。当時のカタログにはご丁寧に重量も記載されていてそれによると本機は4.2kg、実際に計ってみると4.08kgでした。本家ギブソンとの大きな違いは他にネックの仕込み角度(本機は少し浅いように思います)、ヘッドの厚み(本家より1.0mm以上厚め)などが見られます。バイサウンドシステムも(YAMAHA)SGシリーズの看板スペックで独自といえばそうかもしれません。あと配線はほぼすべての部分が丁寧にシールドケーブルが使われていました。これはSGシリーズでもそうだったようでYAMAHAの拘りでしょうか。

古いギターを修理するといろいろ気づかされることがあって面白いです。

 

 

ようやく弾ける状態に復活したSL550S!

ようやく弾ける状態に復活したSL550S!

昨日までの続き作業、ナット、テールピース、ブリッジ、ピックガードといった新調したパーツの取り付けを行いようやく上の写真の状態にまで至りました。

まずは、ヘッドと指板の間のナットを収める溝の修正。もともとはヘッドの突板が6弦側に侵入しているアンバランスな仕上がりだったのでそれを削り落としました。

修正した溝。昨日のレポではまだ突板のはみだしが6弦側にありました。これで響きのバランスが良くなることに期待!

修正した溝。昨日のレポではまだ突板のはみだしが6弦側にありました。これで響きのバランスが良くなることに期待!

昨日おおかた作っておいたナットを微修正して載せてみます。もちろんピッタリのサイズに加工していますが、バインディングが経年の劣化で収縮しているのでそことナットの間には隙間があります。今回はこのままですが、気になるようならあとから埋めても良いでしょう。

昨日おおかた作っておいたナットを微修正して載せてみます。もちろんピッタリのサイズに加工していますが、バインディングが経年の劣化で収縮しているのでそことナットの間には隙間があります。今回はこのままですが、気になるようならあとから埋めても良いでしょう。

弦を張って、弦溝を掘り終えて仕上げまで済ませたところ。ナット材は無垢の牛骨を使用。牛骨はコンパウンドで磨くと写真のように艶が出ます。

弦を張って、弦溝を掘り終えて仕上げまで済ませたところ。ナット材は無垢の牛骨を使用。牛骨はコンパウンドで磨くと写真のように艶が出ます。

新調したテールピースとブリッジは幸い規格が同じで取り付けは簡単に済みました。古い楽器の生鳴りを生かすためにテールピースは軽量のアルミ製にしました。

新調したテールピースとブリッジは幸い規格が同じで取り付けは簡単に済みました。古い楽器の生鳴りを生かすためにテールピースは軽量のアルミ製に。

ジャックプレートはサビだらけでしたが、写真の通りまあまあの綺麗さにまで復帰。錆びて山が崩れていたネジは新しいものに交換。

ジャックプレートはサビだらけでしたが、写真の通りまあまあの綺麗さにまで復帰。錆びて山が崩れていたネジは新しいものに交換。

「やったー完成!」と思ったら用意していた既製品のピックガードが合わず。

「やったー完成!」と思ったら用意していた既製品のピックガードが合わず。

ほんの少し加工して何とか取り付けできました。

ほんの少し加工して何とか取り付けできました。

以上でほぼ完成、生鳴りは想像していた以上に古い個体らしい乾いた元気なもので、ちょっとびっくりしました。PAF系のPUにするとそこらのレスポールよりも気持ちいいかも・・・。今回はオリジナルのYAMAHAのPUのままで行くのですが、さきほど少しだけアンプから音を出してみたところ、YAMAHA PUの独特な音。「ただコピーではなく、独自性を加える」というYAMAHAらしい感じです。SGシリーズでも採用されているバイサウンド(コイルタップ)のスイッチもついていてシャキシャキの音も面白いです。

あとは一日ネックの様子を見て最後の微調整を加えて完了です。

古いフレットを抜いて指板の修正が終わった状態。

古いフレットを抜いて指板の修正が終わった状態。

先日の「80年代製造 YAMAHA SL550S レスポールタイプのオーバーホール①」つづき。

フレットをを抜いてねじれの見られた指板の修正を済ませた状態から、今度は新しいフレットを取り付け。

新しいフレットを打ちこんで、各フレットの両端を指板の端に沿って粗成形まで行ったところ。この時点でフレット両端は指板(バインディング)からはみ出してはいませんが、角は尖っていて手の動きに引っかかる状態。

新しいフレットを打ちこんで、各フレットの両端を指板の端に沿って粗成形まで行ったところ。この時点でフレット両端は指板(バインディング)からはみ出してはいませんが、角は尖っていて手の動きに引っかかる状態。

フレット両端を丸めて上面の擦り合わせ、フレットエッジの加工まで終えた状態。

フレット両端を丸めて上面の擦り合わせ、フレットエッジの加工まで終えた状態。

今回のフレットは元々と同じくジャンボサイズ。指板修正をきっちりやっているので、新しいフレットを打ちこんだ時点でフレットの頂点の高さはほぼ揃っていますが、さらに精度を高めるために擦り合わせも行いますが、フレットを打つとネックの状態も変化するので1日待ってから作業再開。通常の磨耗したフレットの擦り合わせに比べれば削る量は圧倒的に少ないのですが、それでもフレットごとに多少のフレット頂点の幅のばらつきもでるので、削りっぱなしではなく、幅を揃えてエッジも丸める作業も行います。

ペグをGotohのクルーソンペグに替えるので不利物は取り外しました。ペグポストの穴の径が通常のクルーソンタイプより大きくなっています。また、ナットを収める溝の底に突板(ヘッド表面の黒い板)が入り込んでいます(赤矢印の箇所)。

ペグをGotohのクルーソンペグに替えるので不利物は取り外しました。ペグポストの穴の径が通常のクルーソンタイプより大きくなっています。また、ナットを収める溝の底に突板(ヘッド表面の黒い板)が入り込んでいます(赤矢印の箇所)。

フレットが終わったらナットの取り付けですが、今回はペグをGOTOHのクルーソンタイプに交換するとの依頼もいただいています。古いペグを外すとポストの穴の径がクルーソンタイプよりも大きいのでコンバージョンブッシュというパーツを使用します。また、ナットを収める溝内に突板がはみ出しています。オリジナルでは強引に削ってナットを取り付けてしまっていたのですが、厳密には音の振動がばらついてしまってよろしくないと思うのでこれを削り落とすことにしました。

左が今回使用したコンバージョンブッシュ。右は通常のクルーソンタイプ。コンバージョンのほうは内径は同じで外見が大きめでロトマチックタイプのペグを取り付けた穴に対応しています。もっとも穴のサイズはばらつきがあったりするので、これでもドンピシャにならないこともあります。(今回はドンピシャ!)

左が今回使用したコンバージョンブッシュ。右は通常のクルーソンタイプ。コンバージョンのほうは内径は同じで外見が大きめでロトマチックタイプのペグを取り付けた穴に対応しています。もっとも穴のサイズはばらつきがあったりするので、これでもドンピシャにならないこともあります。(今回はドンピシャ!)

ナットを収める溝を綺麗にする前によく観察するとそこから1フレット手前までにかけて指板が剥がれていることが発覚。ぱっと見はわからないのですがナット溝に工具をあててヘッドをもって研磨しようとするとほんのわずかに隙間が空きます。これはほっとけないのでいったんナットの方は中断、まずはこの指板剥がれを接着することに。締め切りも近い案件なので、進められる部分は進めることにしてペグの取り付けを行った上で接着の固定を行いました。

指板の剥がれを再接着しているところ。

指板の剥がれを再接着しているところ。なるべく作業を進めておきたいのでペグ取り付けは済ませました。

接着が完了してから、接着に使用した接着剤のはみ出した部分を取り除くのですが、この際に濡れ拭きを使うのでその水分の乾燥のため三度作業中断。なかなか進みませんが、もうゴールは見えています。あとは新しいナット、ブリッジ、テールピースを取り付けて弦を張ってナット溝を切って全体の調整で完了。ブリッジとテールピースはGOTOHのものを取り付けますが、規格があっているので難しいところはありません。ナットの取り付けもすぐ行えるように今日ナットの作成も済ませました。

作成したナット。無垢の牛骨材を削り出して作ります。今回はまだヘッドのナットを収める溝の処理が済んでいないので高めに作ってあります。溝の処理が終わったら底面を削り高さを合わせてから取り付ける作戦。磨きは通常弦を張ってナット上の弦溝の調整まで終わってから行いますが、それだと磨きにくい面などはこの段階で磨いてしまいます。

作成したナット。無垢の牛骨材を削り出して作ります。今回はまだヘッドのナットを収める溝の処理が済んでいないので背高めに作ってあります。溝の処理が終わったら底面を削り高さを合わせてから取り付ける作戦。