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熊鈴の音

Posted: 2016年12月3日 カテゴリー: 登山
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たまにはギター以外の話題を。

10月に北アルプスに行ったときに予定していたコースがこなせずに悔しい思いをしたので最近は奥多摩へ「トレーニング登山」に出かけています。11月中に3度ほど足を運んでいるのですが、これは数日前の山行のお話。ちょっとダークな話で、観光地化している奥多摩の迷惑にならないよう山名などは割愛します。

その日は朝暗いうちに家を出発、JR武蔵五日市駅からバスで登山口へ向かいました。バスが駅を出たときは数名の登山者と地元の人が乗っていましたが、僕が下りるバス停につくまでにほとんど降りてしまい、残った乗客は僕と他一名。そして、その人は僕と同じバス停で下車。どうやら同じコースを歩くのが目的のようです。空になったバスが終点へ向かって走り去るのを見送っていると、もう一人の登山者はもういなくなっていました。僕はバス停近くのトイレで用を済ませ、準備運動を行い、さらに話しかけてきた地元の人と少しお話してから出発。バスを降りてから20分くらいが経過してました。目的の山頂まで標高差1,100mほど、コースタイム3時間半ほどのコースです。

今の季節、雑木林は落ち葉が敷き詰められています。

今の季節、雑木林は落ち葉が敷き詰められています。

山へ足を踏み入れ登ってゆくと、檜の植林帯と雑木林が交互に現れますが、この時期、雑木林は枯葉が敷き詰められた道になります。かさかさと枯れ葉を踏みしめて歩くのは心地好く、面白いように標高が稼げました。

尾根筋をどんどん標高を上げる。

尾根筋をどんどん標高を上げる。

バス停で見失った人はだいぶ先を歩いているのか、気配は感じません。降り積もった落ち葉の上に人が歩いた新しい形跡がありました。きっとさっきの人だろうと思いながら歩いていると、背後から熊鈴の音が「チリーン」と聞こえてきました。「熊鈴」というのは熊に遭遇しないように、登山者や山仕事の人が身に着ける鈴。鈴の音を警戒して熊が離れて行くというものです。今の時期はほとんどの熊が冬眠態勢になっていてもう不要かと思いますが、奥多摩は登山初心者も多い地区で付けている人は珍しくありません。山では自分よりペースが早い登山者に道を譲るのがマナー、一応後ろを振り返ってみました。でも誰も見えません。見通しが良くない場所ですし、山で一人で歩いていると五感が敏感になって結構遠くからの熊鈴も聞こえるので、「まだ離れてるかな」と考えて、とりあえず先に進みます。

振り返っても誰も居ません。

振り返っても誰も居ません。

普段の登山では「1時間歩いたら5~10分休憩」といったパターンを守って登ります。ペースを乱すとバテやすく、急ぎ過ぎてもだらだらしすぎてもダメ。でも今回はトレーニング目的での山行でばてるくらいがちょうど良いと思って目的の山頂までは休憩なしで一気に登り切りました。これが失敗でした。

山頂に到着。数時前の雪がまだ残っていました。(山の名前は架空のものです。)

山頂に到着。数時前の雪がまだ残っていました。(山の名前は架空のものです。)

コースタイム3時間30分ほどの登りを2時間40分ほどで登り切り目的の山頂に到着。途中何度か熊鈴をきいたのですが誰かが追いついてくることなく山頂に。さすがに山頂目前まで来るとかなり疲れを感じ、山頂では長めに休憩をとることに。この山は奥多摩でもメジャーな山で僕が到着した時に一名、休憩している時にもう一名が山頂に来ました。バス停で一緒だった人は見当たりませんが、ここまで来ると他の山や登山口への道も多く合流しているのでそのどちらかへ行ったか、かなりの健脚でだいぶ先を行っているのでしょう。

山頂で一緒だった二人は僕よりはだいぶ年上でした。先に来ていた一人は僕が到着してからすぐに下りていきました。あとから来た人と会話することもなく僕も少し長めの休憩を終えて下山開始。下山はいくつかのピークを経て来たところとは別の駅へ下りる計画です。

再び落ち葉を踏みしながら歩きます。

再び落ち葉を踏みしながら歩きます。

「失敗」というのは、ここまでで必要以上にバテてしまっていたこと。山頂を後にしてからは足が重くなってペースも落ちました。コースタイムよりも10分ほど余計にかかって一つ目のピークまで来たところで休憩をいれました。登りのハイペースが嘘のようなスローペース。計画では下山地に到着するのが16:00頃の予定。今の季節15時過ぎれば森の中は暗くなってきます。17時になれば森の中は夜です。

行動食の羊羹をほおばりながら地図とにらめっこしているとまた熊鈴の音が聞こえてきました。この時もそれほど気にはなりませんでしたが、一応周囲を見て他の登山者がいないか確認。姿は見えませんが、音ははっきりしていたので近くにいるはず。

周囲には誰も居ません。

周囲には誰も居ません。

このときはまだ「近くに登山者かが来ている」と思っていました。冬に差しかかった季節の平日とはいえ都内から近く標高も低い山です。さっき山頂で他の登山者もいましたし何人かは今この山を歩いていて不思議はありません。

休憩を切り上げて立ち上がるとさっきまでより足の疲れがこたえました。がまんして足を踏み出しすとまた「ちりん」と背後から熊鈴の音が・・・

振り返ってもやっぱり誰も居ません。

振り返ってもやっぱり誰も居ません。

あたりを見回しても誰も居ません。森の中は見通しが悪いから近くにいても見えないこともあります。だから「大方、さっき山頂で一人で残った人が下りてきて追いついてきているのだろう」と思い、やはり気にせずに先に進みました。

でも少し歩いてからふと思い出しました。さっき山頂で休憩しているときに後から登ってきた人は熊鈴は付けていませんでした。つけていたら音でわかります。僕より先に山頂に来ていた人もそうだ。つまり今後ろを歩いている人はさっき山頂であった人ではないはず。他に登ってきた人がいたらここまで降りるまでにすれ違うはず…。

などと考えながら重い脚を無理やり前に出して下山道を進みました。

先ほどの休憩から1時間ほど歩いてまた休憩。標高はだいぶ下げてきていますが、コース上にはまだいくつかの登り返しと、鎖場、急な岩場の下り、そして仕上げに180段近い急な下り階段があります。ここまででコースタイムを30分以上遅れていましたが、下りを急ぐと膝を傷めやすく、そうなると一層ペースが落ちるのがわかっています。なので、無理のないペースで行くと決めると同時に、日没までに山を出られないことも覚悟しました。

地図を眺めながら人里につく時刻を計算し直しているとまた「ちりん、ちりーん」と熊鈴の音が耳に届きます。音の具合から距離感も同じくらいです。

どうもおかしい。僕は大分バテていてかなりスローペースで歩いているのだから、もうとっくに追いつかれてもいいところだ。

この時、時刻は15:00頃。今の時期、他のコースからこのコースに上がってくる人はもういない時刻だろう。前述の通りまだ気を抜けないアップダウンが続くし、森の中で暗くなると視界は効かず危険度は増す。下手をするとビバークなんてことにもなりかねない。だから考えられるのは僕と同じようなコースで歩いている登山者ではないか…。

こちらとしては急げる状態じゃない。後ろから追い立てられるようなのは良くない・・・と考え、熊鈴の主に先に行ってもらうべくその人が現れるのをしばし待った。

ところが、5分くらい待っても現れない。仕方なく出発。そして少し進むとまた背後から「ちりん・・・」と熊鈴が聞こえてきます。

「わざとやってんのかなぁ?」「人に会うのがいやなのかなぁ?」などと考えつつ、追いつかれるプレッシャーも抱えて重い気分で歩みを進めます。

何度目かの檜の植林に入りました。檜の植林帯では雑木林に比べてやけに不自然にまっすぐな檜以外、雑草も大して生えていません。「森」とは言っても雑木林のような生命の躍動感は乏しく、昼間でも薄暗いので今の時刻はいっそう暗くなり不気味な雰囲気です。そうしたところでも時々「ちりーん」と鈴の音が追ってくるのですが、さすがに気味が悪くなってきました。時刻は15時30分ころ。遠くはあまりはっきり見えなくなっていましたが、時々周囲を確認せずにいられません。でもやはり誰もいませんでした。

大分暗くなってきました。

大分暗くなってきました。

いくつかの小さなピークを登り返しつつ、木の根が複雑に絡んだ急な道を足を取られないようゆっくり下り続け、大分標高を下げてきました。まだ、ゴールは先ですが、そろそろ遠くから麓の国道を走る車の音が聞こえてきていました。人の気配に安心感を得ましたが、相変わらず、たびたび「ちりーん」と聞こえてきて不気味さも感じていました。

16時過ぎごろ、最後のチェックポイントともいえる神社の鳥居に到着。ここから一登りして、あとは最後の下りを残すのみ。もうあたりは大分暗くなってきていて見通しも悪くなっていました。ヘッドランプを出した方が万全ですが、ゴールはもうすぐ。立ち止まらずに一気に進むことにして、鳥居をくぐり最後の登りに取りつきました。登りといってもせいぜい数十メートル登る程度、それよりもその後に控える長い下り階段の方が大変です。

気合いを入れ一気に最後の登りを片付けました。登り切ったところは神社。人はいません。そう言えば鳥居を過ぎてからは熊鈴は聞いていませんでした。立ち止まって耳を澄ましてみましたがやはり聞こえません。少し安心して最後の下りに取り掛かります。

足が問題なければあと10分といったところだと思いますが、ここにきて左足の膝が痛み出しました。下りの負担を考えると一層ペースを落とさざる得ません。しかたなく左足をかばうようにしてゆっくりゆっくり下りました。

森の中は結構暗くなってきていました。

森の中は結構暗くなっています。

神社があったところからほんの少し行くったところで自分より少し先に登山者らしき人影を発見。かなり暗くなっていてはっきりとはわかりませんが、小さめのデイパックを背負ったおじいさんのようです。立ち止まってこちらを見ています。この神社だけに登ってきて引き返すところでしょうか。

ここからは急な道で暗くなっていて危険なことも考えると年配の方をせかしては悪いと思い、手で「先に行ってください」と合図を出して僕はその場に立ち止まりました。おじいさんは僕から視線を外すとゆっくり下ってゆきました。

そうこうしているうちにさらに暗くなります。さすがにおじいさんが見えなくなるまで待っているわけにもいかず、僕もゆっくり下りを再開。しばらく行くと、最後の難所の180段あまりの階段に到着。かなり急で高度感があり、下りであたりも暗くなっているとなるとかなり怖い道のりです。したの方を見ると先ほどのおじいさんがまだ階段の中腹にいました。緊張を強いられるこの階段で、やはりおじいさんをせかさないようにと思い、はやくゴールに着きたいですが階段の一番上で腰を下ろしておじいさんが下り終えるのを待ちました。

階段の途中のおじいさんはなんどか振り返ってこちらを見ていましたが、やがて階段を下り終え見えなくなりました。あたりはどんどん暗くなっています。左ひざをかばいつつ僕も数分かけて階段を下り切りました。

振り返って見上げた階段。

振り返って見上げた階段。オートで撮影したので実際よりだいぶ明るく映っています。

もうゴールは目とはなの先ですが、階段を下りきるといよいよ膝が痛くなっていたので近くに腰を下ろして最後の休憩を入れました。今日歩いたところを見返そうと地図を取り出しましたが、もう地図が読めない位の暗さでした。おじいさんを見つけてからすっかり「熊鈴の人」のことは忘れていたのですが、暗い中で森やさっきの階段を見ているとそれを思い出し、また気になり出しました。「もし自分の後ろを自分と同じようなペースで歩いていたのなら階段の上に現れるかも」とも思い、休憩している間にその人が現れないか、時々階段の方を見やりました。暗くてはっきりとは見えなくなっていましたが、結局誰の姿も、気配も現れず。

最後の道のりをかなりゆっくり歩いてゴールしたのは17:00を過ぎていました。

近くの温泉で汗を流してから最寄りの青梅線の駅まで歩き電車に乗り込みました。

さて、結局「熊鈴の人」はどうしたのでしょうか。一人で山を歩くと五感が鋭くなるものなので、ちょっとした空耳を過大に受け取ったのかもしれません。でもそれにしては結構近くに聴こえた感じでしたし、全部で13kmほどのコース中、10kmにわたる区間で聞こえ続けたのは(断続的ではありましたが)不自然な気がします。それに今日会った登山者は誰も当てはまらない感じで、他に登山者が追ってきていたとしたら、最初の山頂から下る途中ですれ違うか、あるいは僕が休憩していた時に追いついてきそうなものですが・・・最後のおじいさんは遅い時間に突然前に現れたのがちょっとビックリでしたが、鈴は付けていなかったですし、多分関係ないでしょう。暗くなる時間でちょっと不気味だったけど。

気になったので帰りの電車の中でネット検索してみると同じコースで不思議な体験をしたという記事が一つ見つかりました。その人は僕と同じように一人で歩いていたそうですが、突然先行者が視界に入ったものの、次の瞬間にいなくなってしまったそうです。僕より百倍不気味だぁ~。

一体なんだったんだろ~。

 

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正月の八ヶ岳登山、最終日の1月3日。この日も快晴。赤岳天望荘から赤岳に登り、山頂神社で初詣。そこからは昨年と同じく、文三郎尾根から行者小屋、南沢コースを経て美濃戸口バス停へ下山という行程。

この前日までのレポートは

1月1日

1月2日

日の出の直前。この後の写真は綺麗に取れませんでした・・・。

日の出の直前。この後の写真は綺麗に取れませんでした・・・。

山小屋で朝食後、日の出まで少しの時間を写真撮影のために極寒の外へ。あたりが明るくなってから、日の出の少しあとまでは景色の変化や色合いがとても神秘的で、いつもシャッターを切っています。特に月が見えている時は同じ構図で何枚も撮ってしまいます。刻々と空の色と山肌の雪の色が変わってゆくのと、明るくなっても見える月が同じフレームに入ると時間が経つのを忘れます。もっともその神秘タイムは短く、極寒(風も強いので体感温度はマイナス30度近いのでは・・・)に耐えての撮影時間は15分くらいのものでした。

日が出る前、あたりが明るくなったところでこれから登る赤岳を撮影。この時間は神秘的。でも死ぬほど寒い。

日が出る前、あたりが明るくなったところでこれから登る赤岳を撮影。この時間は神秘的。でも死ぬほど寒い。この数分後に日の出。

日の出直後の赤岳。少し朱に染まった雪山も神秘的です。飛行機雲もグッドタイミング。

日の出直後に同じ構図。雪山で稜線泊まりの一番の楽しみがこの景色。

神秘タイムが終了、一旦山小屋に戻って出発の準備をする。雪山では防寒着を着込んだり紫外線対策、アイゼンの装着など出発準備に時間を喰う。この日もすぐに20分くらいは過ぎてしまった。でも赤岳天望荘から赤岳山頂まではゆっくり登っても一時間弱で、時間は余裕がある。他の登山者を見送ってからゆっくり出発。

出発直後、赤岳山頂方面を望む。さっきの神秘タイムと違ってすっかり明るい。例年に比べ風は緩めだけど、それでも平地の風に比べれば激しい。

出発直後、赤岳山頂方面を望む。さっきの神秘タイムと違ってすっかり明るい。例年に比べ風は緩めだけど、それでも平地の風に比べれば激しい。

風に飛ばされないようにバランスを確保しつつ標高を上げて行く。先行者が見える。

風に飛ばされないようにバランスを確保しつつ標高を上げて行く。ここはいつも烈風が吹き荒れていてもともと雪は付きにくいが、今年は例年よりかなり少ない。ある程度雪がついていた方がアイゼンの爪やピッケルが効いて登りやすいのだけど・・・。

先行者と月をフレームに入れて一枚。

先行者と月をフレームに入れて一枚。

DSCF1269

ここを超えると赤岳山頂神社。天望荘からここまで40分ほど。この写真の場所は大量の雪が降った直後は完全に雪に隠れることがある。岩が見えているのと雪に覆われているのでは写真の印象が随分違う。

 

雪が多いとこんな感じ。たしか10年くらい前に登った時の写真。

上の写真と同じ場所。雪が多いとこんな感じ。たしか10年くらい前。全然違うでしょ?

赤岳山頂2,899mからの眺め。天気が良ければ富士山も良く見える。

赤岳山頂2,899mからの眺め。天気が良ければ富士山もよく見える。

赤岳山頂から南アルプス方面を望む。

赤岳山頂から南アルプス方面を望む。

重なって見えるけど、二つの山がある。手前のピラミッド型の頂が中岳。その奥が阿弥陀岳。中岳の手前を右側に下山してゆく。

重なって見えるけど、二つの山がある。手前のピラミッド型の頂が中岳。その奥が阿弥陀岳。山の形は見る方向によってどんどん変わるから、歩いていて飽きないのかも。歩みを進めるにつれてこの二つの山もどんどん表情が変わる。中岳の手前を右側に下山してゆく。

山頂神社で参拝を済ませ、一服後に出発。ここからは昨年と同じ下山コース、文三郎尾根を下る。赤岳山頂まではカメラを首から下げて撮影しながら登ってきたけど、ここからは中岳方面と文三郎尾根の分岐まで緊張を強いられるコースなのでカメラはザックにしまって下山開始。雪のあるところはピッケルとアイゼンを効かせ、岩が丸出しの箇所は3点確保で下ってゆく。30分ほど下って分岐まで来たところでカメラを取り出す。

下ってきた岩場を振り返る。中央の岩塊の向こうが山頂。

下ってきた岩場を振り返る。中央の岩塊の向こうが山頂。岩塊の右側面が下山ルート。

分岐から斜面をトラバース気味に標高を下げて行く。左手を見ると青い空に中岳と阿弥陀岳が映えていたので一枚パシャリ。先ほどと違った形が面白い。

中央が中岳。右隣が阿弥陀岳。

中央が中岳。右隣が阿弥陀岳。中岳左側の雲がいい味出してる?

ついでに昨日歩いた硫黄岳から横岳周辺の稜線を拝む。

右側を振り返ると昨日歩いた硫黄岳から横岳周辺の稜線が見える。いつも同じ場所で写真を撮っていることにあとから気づく。

すぐに樹林帯に入る。そこから一気に下ると中岳沢経由で阿弥陀岳に至るコースとの分岐に出るとすぐに行者小屋。

すぐに樹林帯に入る。そこから一気に下ると中岳沢経由で阿弥陀岳に至るコースとの分岐に出る。すぐに行者小屋に到着。

中岳沢経由の阿弥陀岳コースは過去に重大な雪崩事故があったところ。積雪期は要注意のところです。八ヶ岳は山がコンパクトで一般的には雪崩のイメージが湧きにくいかもしれませんが、実は過去に重大雪崩事故は起こっています。今回のコース上では硫黄岳手前の赤岩の頭あたりでもあったようです。もともと「雪崩れなんか起きそうにない、来そうにない」と思われてたところのようですが、そういうところでも起こってしまうのが雪崩のこわいところ。何年か前に北アルプスの槍平小屋に幕営していた登山者が雪崩の犠牲になりました。この事故は大きなニュースにもなったので覚えている人もいると思いますが、じつはこの場所も「雪崩れは来ない」と思われていた場所でした。

僕は特に冬山については一人で来ることがほとんどで、周囲の人から「やめておけ」とよく言われます。そういった人にあえて説明はしないけど、一人で山に入る以上「遭難」については勉強していて、自分が入る山域で過去どんな事故があったか、あるいは典型的な遭難例、万一遭難した時の対処などは把握しています。それでも十分という事はなく、やっぱり常に注意しつつ歩きます。このブログにアップした山行レポートはだいたい計画通り歩いていますが、同じコースでも何度も途中撤退という事もありました。

昨年泊まった行者小屋到着。しばし休憩。

昨年泊まった行者小屋到着。樹林帯に入ると稜線での防寒装備では厚すぎるので、ここでアウターを脱ぐ。周りの人は着たままの人が圧倒的に多いけど、僕には暑過ぎる。

さて、赤岳山頂から1時間半ほどで昨年宿泊した行者小屋に到着。ここで装備の調整と休憩。普段はここでアイゼンは外してしまうけど、今年は雪が少なく、川や解けた雪が凍ってアイスバーンになっている箇所がたくさんありそうなので外さずに出発。

少しして稜線を振り返る。いい天気。

少しして稜線を振り返る。いい天気。

案の定、スケート場状態。ここでも先行者がコケていた。キケンだ。

案の定、スケート場状態。ここでも先行者がコケていた。キケンだ。

案の定登山道のあちこちがちがちに凍っていた。一層緊張しながら進む。ある程度下りてくると、雪が少なすぎてアイゼンがかえって邪魔になってきたので外す。でもその少し先にも上の写真のようなアイスバーンが現れる。コケないようによちよち進む。

もう全然雪がないところまできた。

もう全然雪がないところまできた。

北沢コースとの分岐に到着。

北沢コースとの分岐に到着。正面に見える山小屋の前で小休止。

 

雪のない山道を歩きながら時々山の方を振り返る。

雪のない山道を歩きながら時々山の方を振り返る。右奥に見えるのは阿弥陀岳。

ゴールの美濃戸口に到着。

ゴールの美濃戸口に到着。

合流点からは1時間ほどでゴールの美濃戸口バス停に到着。

駅へ向かうバスまでだいぶ時間があったので、入山時に気になった新しいお店「J&N」へ。ここ、お風呂に入れて、こじゃれた食事もできる(本格的なイタリアンです)。

入山時に気になったお店。お風呂も入れて食事もできる!

入山時に気になったお店。お風呂も入れて食事もできる!

登山口にはほかにもう一件お風呂と食事ができる山荘があって普段はそこを利用しているんだけど、今年は気になった新店で。まだオープンして2か月くらいらしい。お風呂は綺麗で食事も贅沢でイイ感じのお店でした。

この後、バス⇒JRで東京へ。Uターンラッシュで特急は座れないし、時間も余裕があったので各駅停車を乗り継いで帰りました。

今年も無事下山できた。山の神様ありがとう!

 

今年の正月登山、2日目の1月2日です。この日も快晴。コースは赤岳鉱泉をスタートしてまず硫黄岳に登り、そこから八ヶ岳の中では一番の難所となる稜線上を横岳を超え赤岳手前の赤岳天望荘まで。距離はたいしたことはないけど、硫黄岳の手前からゴールの赤岳展望荘までは常に強風にもさらされる骨の折れるコース。

前日のレポートはこちら ⇒ 1月1日

正月登山2日目スタート!

正月登山2日目スタート!写真は赤岳鉱泉の受付前にある標識。これから硫黄岳に向かいます。

スタート時からアイゼンを装着。

スタート時からアイゼン(滑り止めの爪)を装着。

赤岳鉱泉周辺はアイゼンを付けるにはまだ雪が少ない状況でしたが、昨日のように雪が少なくても途中で凍結しているような箇所があることが予想されるのであえて装着。最初はアイゼンの刃が登山道上の岩や木の根にあたって歩きにくかったけど、すぐに慣れた。

赤岳鉱泉を出発して1時間くらいは樹林帯をジグザグに登ってゆく。

赤岳鉱泉を出発して1時間くらいは樹林帯をジグザグに登ってゆく。

最初歩きにくかったのが標高を上げるにつれて積雪も少し増えて歩きやすくなった。だけど、例年のような「雪山の樹林帯の静けさ」は感じない。ある程度雪がついているとその雪が周囲の音を吸収するので独特の静けさが味わえる。

・・・しばらく標高を稼いでゆくと樹林に切れ間が出てきた。

標高を上げてゆくと樹林の切れ間から稜線が見えるようになる。

標高を上げてゆくと樹林の切れ間から稜線が見えるようになる。このあたりで最初の小休止。

さらに歩みを進める。森林限界を超えると稜線はすぐそこ。

さらに歩みを進める。森林限界を超えると稜線はすぐそこ。

DSCF1072

強風に耐えながら最初の目的地、硫黄岳を目指して稜線を進む。

赤岳鉱泉から硫黄岳の山頂までは2時間から2時間半くらい。上の写真では穏やかな印象があるかもしれなけど、実は八ヶ岳連峰の中でも硫黄岳周辺は冬の風がかなり強い場所。この日も稜線(稜線:山頂と山頂を結ぶ線の事)に出たとたんに吹き曝しになる。休憩もままならないので、樹林帯を出る前に小休止をしておいた。上の写真の中央の岩場を抜けると硫黄岳の山頂に着く。

硫黄岳山頂、2760m。のっぺりした山頂は常に強風が吹いている。

硫黄岳山頂、2760m。のっぺりした山頂は常に強風が吹いている。

山頂の標識を背にこれから歩く稜線を一望。天気はいいけど風は強い。

山頂の標識を背にこれから歩く稜線を一望。赤矢印のところにある赤岳天望まで稜線を強風にさらされながら歩くのだ。

硫黄岳山頂を後にし、一旦下る。この日は好天だが雪が降っていると視界が悪くなるところなので、写真のようなケルンが道しるべになっている。

硫黄岳山頂を後にし、一旦下る。この日は好天だが雪が降っていると視界が悪くなるところなので、写真のようなケルンが道しるべになっている。

少し下ってから硫黄岳山頂を振り返る。点々とケルンが道を示している。

少し下ってから硫黄岳山頂を振り返る。点々とケルンが道を示している。

複数の山頂を一度の山行で踏破するスタイルの登山を「縦走」と呼ぶ。縦走の場合、先に踏んだ山頂から次の山頂へ向かう間は当然標高がいったん下がる。山頂と山頂の間の稜線上の凹んだ地形を「コル」「鞍部」と呼ぶのだが、こうした地形は山肌にあたった風が集まりやすいため一層強風になりやすい。この日も「硫黄岳」から次の山頂「横岳」の間を通過する間は強風。油断すると簡単にバラスを崩して転倒するので、アイゼンとピッケルでバランスを取りながらじわじわ進む。「登り」という事よりも「強風」に逆らうことで体力が消耗される。

コルの最低部を過ぎ再び登り返す。

コルの最低部を過ぎ再び登り返す。

風に逆らって進んでいる最中、清里方面に目を向けると・・・白い雲の中に黒い塊が!

風に逆らって進んでいる最中、清里方面に目を向けると・・・白い雲の中に黒い塊が!

風に逆らいながら進んでいるときはどうしても進行方向と足元に目がいきがちになる。しばらく気づかなかったのだが、ふと清里方面に目を向けると白い雲の中に黒い塊が見える。「インディペンデンスデイ?」と一人ボケつつ、実際に気になったのでペースを落として巨大宇宙船らしき黒塊を観察。写真では穏やかな天気に見えるけど実際はかなりの強風が吹いているので、雲の形はどんどん変化。しばらくすると周りの白い雲がほどけて中から侵略者の宇宙船が!!・・・と思ったらやっぱり雲でした。でも白い雲の中に真っ黒い雲の塊が入っていることなんてあるんですね。どういう現象なんだろう?知っている人いたら教えてください。

アヤシイ雲が敵の宇宙船でないことが分かったので再び標高を上げて行く。

アヤシイ雲が敵の宇宙船でないことが分かったので再び標高を上げて行く。

吹き曝しの稜線を上り詰めてゆくと写真のような岩塊にぶつかる。この岩塊の側面を進み、ハシゴを登ると・・・

吹き曝しの稜線を上り詰めてゆくと写真のような岩塊にぶつかる。この岩塊の側面を進み、ハシゴを登ると・・・

今回の山行の2つ目の山頂、横岳。標高2,829m。

今回の山行の2つ目の山頂、横岳。標高2,829m。この日の最高地点。

横岳山頂から残りの行程を一望する。

横岳山頂から残りの行程を一望する。ここから地蔵の頭までの間が今回の核心部で、八ヶ岳の一般ルートでは一番険しいところ。

横岳山頂も吹き曝しだったけど、前に休憩してから2時間近く休みなしで来てしまったので小休止。出発前にテルモスに作っておいた激甘ミルクティーを飲む。ここからしばらくは八ヶ岳で一番の難所になるので気を引き締めて出発。

険しいースなので撮影はほどほど。この写真の箇所は歩きやすい部分。険しいところと歩きやすいところが交互に現れる。

険しいースなので撮影はほどほど。この写真の箇所は歩きやすい部分。こんなちょとしたピークを登って下りをしばらく繰り返す。険しいところと歩きやすいところが交互に現れる。

常に稜線を歩くわけではなく、少し下った斜面をトラバースもする。ここは諏訪側につけられたトレース。風裏になるので比較的楽だけど、滑落すると一気に落ちてしまう地形なのでやっぱり注意は必要。

常に稜線を歩くわけではなく、少し下った斜面をトラバースもする。ここは諏訪側につけられたトレース。風裏になるので比較的楽だけど、滑落すると一気に落ちてしまう地形なのでやっぱり注意は必要。

トレースは諏訪側の斜面から清里側へ移る。しばらく進むと尾根沿いに下る道との分岐に出る。分岐を見送ってさらに稜線を進む。

トレースは諏訪側の斜面から清里側へ移る。しばらく進むと尾根沿いに下る道との分岐に出る。分岐を見送ってさらに稜線を進む。

この日一番の高度感のある岩場を振り返る。ハシゴと鎖をいくつもたどって下る個所。風が常に当たる場所で写真のように雪がついていない部分が多いけど、実はあちこちに雪は溜まっているし、凍結箇所も多い。登りの時はホイホイ進めるけど、下りは緊張する。

この日一番の高度感のある岩場を振り返る。ハシゴと鎖をいくつもたどって下る個所。風が常に当たる場所で写真のように雪がついていない部分が多いけど、実はあちこちに雪は溜まっているし、凍結箇所も多い。登りの時はホイホイ進めるけど、下りは緊張する。

難所を超え地蔵の頭に到着。昨年はここから稜線に出た。この日のゴール、赤岳天望荘はすぐそこ。

難所を超え地蔵の頭に到着。昨年はここから稜線に出た。この日のゴール、赤岳天望荘はすぐそこ。

ゴールの赤岳天望荘が見えた!

ゴールの赤岳天望荘が見えた!

難所を超えて一息で赤岳天望荘に到着。出発から5時間くらい。稜線に出てから時間がかかった。やっぱり風が強いとペースも落ちる。それでもまだ時間は早く、体力にも余裕があったので今日のうちに次の赤岳も登ってしまって昨年泊まった行者小屋まで下山するかしばし検討することに。取りあえず赤岳天望荘に入って休憩だ。ここの標高は2,600~2,700の間くらいだったと思う。こんな高いところにある山小屋が冬期に営業している。ありがたや。

中に入り、アイゼンを外してくつろぐと足から根が生えてきた。大して検討する時間もとらずに「やっぱ今日はここまでにしよっと♪」と決める。受付を済ませ、荷物を寝床へ持って行き、雪山用のアウターを脱ぐ。完全にくつろぎモードに突入。

赤岳天望荘で注文したラーメンとコーラ。八ヶ岳は冬でも営業している山小屋があってありがたい。

赤岳天望荘で注文したラーメンとコーラ。八ヶ岳は冬でも営業している山小屋があってありがたい。

この日はここまで。時間が早かったので昼食にラーメンとコーラを注文。極寒の中を歩いてきているので体にしみるうまさ。

翌日1月3日は昨年も登った赤岳に登り山頂神社で初詣。そして下山。

⇒ 1月3日

 

 

 

今年の初めに登った八ヶ岳、時間が空いたらレポートすると言って既に2か月近くが経過。溜まっていた作業がある程度メドついたので忘れないうちにレポートに着手。

初日1月1日。昨年と同じく、船橋駅から特急あずさに乗り込む。あずさは新宿始発が普通だが、朝に一本だけ千葉駅始発があってこいつを利用。

船橋から登山口の最寄駅の茅野まで乗り換えなしで助かるのだ。

船橋から登山口の最寄駅の茅野まで乗り換えなしで助かるのだ。

普段はまだ寝ている時間に電車に乗るので、あずさに乗ってすぐに仮眠。正月早々睡眠をむさぼっているオレ。

今年のコースは下の地図の通り。

今回は2泊3日の行程。初日の今日は赤岳鉱泉まで。

今回は2泊3日の行程。初日の今日は赤岳鉱泉まで。

3時間ほど仮眠しているうちに茅野に到着。バスに乗り換え登山口美濃戸口へ移動。40分ほどで到着。登山口付近は別荘地で標高1,500前後くらい。例年ではこのあたりも雪が積っているくらいの時期だけど、今年は雪がほとんどない。ここ10年くらい、ほぼ毎年正月は八ヶ岳に来ているけどこんなに雪がないのは初めて(下写真の通り)。バスの終点となる「美濃戸口」のバス停の周りに新しいお店が出来ていた。

登山口に新しいお店が出来ていた。帰りに寄ろっと。

登山口に新しいお店が出来ていた。帰りに寄ろっと。

いつも通り、のんびり準備をする。登山届を提出。同じバスで来た登山者たちを見送ってようやく出発。しばらくは林道歩き。

林道を歩きながら周囲を見渡す。ホントに雪がないゾ。

林道を歩きながら周囲を見渡す。ホントに雪がないゾ。

あんまりに雪がないので気持ちが悪い。いったいなんなのだ。上の写真、とても厳冬期の標高1,500mの森とは思えない。でも天気は最高によく、雪がなくても写真を撮ると中々の絵になっていて面白い。夏季のコースタイムとかわらない一時間程で北沢コースと南沢コースの分岐点に到着。このあたりも雪はまだまだ少ない。積った雪がすぐ解けて凍っている場所も多く気を使って歩く。傾斜があるので滑ると厄介なのだ。

バス停から1時間ほどで北沢コースと南沢コースの分岐となる美濃戸に到着。

バス停から1時間ほどで北沢コースと南沢コースの分岐となる美濃戸に到着。写真では雪がしっかりついているように見えるけど、実はいアイスバーンに近くて、歩く場所に気を付けないとキケンだ。

この日は上の写真の標識を左側に進む北沢コースをたどり赤岳鉱泉という山小屋へ向かう。ここから2時間くらい。右側の南沢コースは昨年登った道。今年は下山に使う。

分岐の前の山小屋で5分ほど休憩してから出発。ここまでは車でも来れる(チェーンは必要)がこの先はどんどん「登山道」になる。雪が半端に溶けて固まっているだろうから足元ばかり見て進んだ。

分岐から少し歩いたところ。まだ道幅もあって歩きやすいけどあちこち凍っていて油断できない。

分岐から少し歩いたところ。まだ道幅もあって歩きやすいけどあちこち凍っていて油断できない。

このコースは北沢という沢をたどってゆく。ここ何年かで川沿いに木道が整備されていてわかりやすいけど、半端に雪が載って凍っているので緊張する。

このコースは北沢という沢をたどってゆく。ここ何年かで川沿いに木道が整備されていてわかりやすいけど、半端に雪が載って凍っているので緊張する。

川に写った自分の影をパシャリ。天気はいいけどそこそこ寒い。

川に写った自分の影をパシャリ。天気はいいけどそこそこ寒い。

しばらくすすむと・・・

登山道が氷の川じゃん!

登山道が氷の川じゃん!

今年は雪が半端な量で、ちょっと降っては溶けてしまうので、登山道がまるで「氷の川」のようになっている箇所が何か所かあった(上写真)。ある程度雪が積っていればルートを変えてもいいけど、今年の量では植物を踏み荒らしてしまうことになるので夏道とほぼ同じルートを歩くのだが、その途上にスケート場が点在するのだった。上の写真のところでは先行する登山者が転倒。「ダイジョブですかぁ?」と声をかける。取りあえず大丈夫そうなので先行させてもらう。しばらく歩いてから振り返ると同じ人がまたコケていた。声をかけようとしたら両手を上げて「マル」のポーズ。大丈夫そうだ。他人事ではなく、自分も緊張しながら歩みを進める。とはいえこのあたりも夏季と同じくらいのペースでクリア。目的はもうすぐ。

この橋を超えると目的地の裏手に出る。橋の上でこけるとシャレにならないので一層緊張して進む。

この橋を超えると目的地の裏手に出る。橋の上でこけるとシャレにならないので一層緊張して進む。

この日の目的地「赤岳鉱泉」の少し手間の開けた場所。

この日の目的地「赤岳鉱泉」の少し手間の開けた場所。

アイスバーンには辟易したが、吹雪いて大変な場合に比べると楽に進んで、予定よりもだいぶ早くこの日のゴールに近づいた。上の写真はこの日のゴール赤岳鉱泉の少し手前に森が切れた場所。ここはなかなかの写真スポットでいつも足を止める。上の写真は影の部分が多くてイマイチだけど、午前中にここを通る人はいい写真が取れると思う。ここから目的地の赤岳鉱泉は目と鼻の先。

赤岳鉱泉で毎年行っているアイスキャンディー(人口氷柱?)。キャンディの先端部分から水を流してそれが凍って氷柱になるのだけど、今年はかなり広範囲に水が広がっていて雪も少ないので平らな部分もいたるところがアイスバーン状態。

赤岳鉱泉で毎年行っているアイスキャンディー(人口氷柱?)。

赤岳鉱泉に到着。今年も恒例のアイスキャンディが作られていてそこでアイスクライミングを楽しまれている。このアイスキャンディは先端部分から水を流してそれが凍って氷柱になるのだけど、今年はかなり広範囲に水が広がっていて雪も少ないので氷柱の周りの平らな部分もいたるところがアイスバーン状態。山小屋までの道もつるつるでしかもちょっとした坂になっている。滑らないように妙な恰好で進む。

この日の宿泊地、赤岳鉱泉に到着。雪少なっ!

この日の宿泊地、赤岳鉱泉に到着。雪少なっ!

この日の宿泊地、赤岳鉱泉に到着!時間は夏季とほぼ同じ3時間弱。今年は11月ごろから週20km前後歩いていたためか昨年に比べて楽に来れた。雪が程よく積っていたらもっと早かっただろう。標高は2,222mだったかな?登山口からの標高差は700mくらい。昨年の宿泊地の行者小屋より100mくらい低い。

赤岳鉱泉は年中無休で厳冬期も営業しているのでここを拠点に雪山を楽しむことが多い。食事も豪華でオススメ。この日も雪山を楽しみに来た人でにぎわっていました。

2日目、3日目に続く。

1月2日

1月3日

 

明けましておめでとうございます。今年もHeavy Gauge Guitarsを宜しくお願い申し上げます。

さて2016年、初日の今日はTaylor DN3のメンテ。

現行の型番だと310.Taylorのドレッドノート、なかなか美品です!

現行の型番だと310.Taylorのドレッドノート、なかなか美品です!

昨年末にふらりと来店した高校時代の友人I君が持ち込んでくれた一本。2008年製で7年を経ていてフレットの減りなど使用痕跡はあるものの外観は綺麗。より弾きやすいように弦高バランスを調整、ナット溝の修正と指板清掃、フレット磨き、指板保湿処理などを行いました。明日までネックの様子を見て、良ければ明日出品します。

I君に会ったのは20年ぶり。共通の友人から僕がギター屋を始めていることを聞きつけて顔を出してくれました。高校時代は同じギター部で一緒に練習したものです。お互いギターを続けていたこともうれしい。I君、来店&ギター持込みありがとう!

そういえば昨年の終盤は以前の仕事のお客様から突然お電話いただいたり(Y先生、お電話ありがとうございました!)、大学時代の友人が突然の来店&20年ぶりの再会(Mさん、ご来店ありがとう!ストラト探し中です!)といったびっくりの出来事がありました。

昨年末は28日で営業を終えましたが、先日のブログでも書いている通り、ギターケースの置場が足りなくなっていたので、ケース置き場の新設、内装の整理などを29~31日に行っていました。

新しくつくったハードケース置き場。お店の床面積を減らしたくないので試奏用のアンプの上のデッドスペースを利用。

新設ハードケース置場。アンプ上のデッドスペースを利用。

ケース置き場のましたは試奏用アンプのスペース。前は木製の台にアンプを載せただけにしていましたが、それだとアンプを鳴らしたときに周りの壁と台などが「ビリビリ」と共鳴したり、録画した時に反響音が耳につくような気もしていたのでその対策も施しました。これで多少はかわるかな?

31日は夜まで作業、翌日1月1日は早朝から八ヶ岳へ。今年は昨年よりも1日多くお休みをいただき、2泊3日で楽しんできました。今回の登山についても昨年同様、時間を見つけてレポートを当ブログに上げようと思っています。

今年の正月八ヶ岳は雪が少なかったですが、3日連続の快晴に恵まれました!

今年の正月八ヶ岳は雪が少なかったですが、3日連続の快晴に恵まれました!

タイトルの通り、山に行きたい。それも雪山に行きたいのだ。

今年の正月に八ヶ岳の赤岳に登山したレポートを本ブログにもアップしています。私はギター以外にアウトドアも大好きで、登山、釣りなど随分はまりました。サラリーマン時代は毎年夏休みは1週間の縦走(複数の山を一回の旅で渡り歩く)、正月休みも3泊前後で雪山に突撃していました。それ以外も毎月どこかしらには登っていましたし、日本の3,000m以上の山(富士山含めて21峰)には単独行でクリアしています。・・・そして今年の年末~正月も山に行きたいと思っています。時間は多分とれるのですが、問題は体力。

・・・Heavy Gauge Guitarsを始めてから運動不足が加速していて、体力減、さらに体重も大分増えてしまいました。前回の赤岳登山もその辺を鑑みてサラリーマン時代に比べてかなりソフトな計画で臨んでいたのですが、今年はできれば硫黄岳~横岳~赤岳の縦走をしたい。このコースも過去何度かこなしているので勝手知ったるではあるのですが、今の体力だとちょっとビミョーなのでその計画の実行を目的に体力の復帰作戦開始です。その作戦とは・・・

「自宅から店(Heavy Gauge Guitars)まで歩いて通う。」

というものです。距離は8.5km。だいたい上高地から横尾(登山好きの方にしかわからないかな)までの距離より若干短いくらい。多少のアップダウンはありますが、登山道に比べれば平坦なんで、歩くこと自体はそれほど大変ではないですが、汗をかきまくったり、雨に濡れまくったり、開店時間に間に合わなかったりはNGなんで、毎日ではなく、時間に余裕があって、雨が降っていない日に実行しようと思います。

試しに昨日、行き帰りとも歩いてみましたが、時間は行きは(途中道を間違って遠回りして)1時間50分くらい。帰りは1時間40分くらいでした。慣れれば1時間半くらいでも行ける感触で、思ったよりはラク。先の「上高地~横尾」というより感覚的には「上高地~(横尾の一つ前のキャンプ地の)徳澤」という感じです。

今日は朝は雨だったので電車できましたが、今は止んでいるので早速歩いて帰ります。

お、そうこうしているうちに閉店時間だ。よし歩くぞ。

番外記事 2015年正月 赤岳登山レポート 後編

Posted: 2015年1月25日 カテゴリー: 登山

1日目は雪が散らつく天気だったが、2日目は予想とおり青空が出た。

翌日1月2日朝、予想通りの晴れ間がでた。

翌日1月2日朝、予想通りの晴れ間がでた。

7時前に朝食を済ませ、のんびり支度をする。テルモスに熱く甘い紅茶を沸かす。普通、登山というのは早出が基本で冬場でも天気が良ければ暗いうちから行動する登山者も多い。しかし、ここ八ヶ岳では冬季でも登山者が多く、ルートも比較的しっかりしている。今回宿泊した行者小屋や赤岳鉱泉に宿泊すれば、一つのピークを登頂して下山するだけの計画では行動時間に結構余裕が持てる。そんなわけで小屋前はまだ出発準備をしている登山者も多い。雲の流れから稜線上は強風だと確認できるが、この時期では普通のこと。昨日の疲れもない。実は当初の計画ではより短時間で登れる文三郎尾根で登り、同ルートを降りるとしていたが、新雪が積った後の晴天の地蔵尾根は非常に美しいので、地蔵尾根から登ることにする。

昨日同様、入念に準備運動を行う。これからの斜面に備えアイゼンを装着、ストックをやや短めにセット。7時50分に出発。

行者小屋を出てすぐに道は傾斜がきつくなってゆく。ただ、雪で踏み固められた道は岩や木の根が埋まってフラットにならされているので夏場より歩きやすい。締まった雪道をアイゼンを効かせてゆっくり登ってゆく。途中、切り立った場所にルートがついている部分ではより用心する。20分ほど登ったところで斜度もきつくなってきたのでストックからピッケルに持ち替える。もうすぐ森が切れて風が当たり始めるのに備えてのことだ。点在するダケカンバ以外、風をさえぎるものがなくなると予想以上に強い風が吹きつけてきた。気温が低い上に風が強いためか、思っていたよりも斜面についた雪が少ない。絵的にはもっと雪がついていた方がいい。そうなっていれば意地でもカメラを出して撮影するところだが、今回はカメラ出さずさっさと稜線に上がることにする。樹林帯を抜け、強風にさらされながらずんずん登ってゆく。吐く息でゴーグルに霜がつき視界が悪くなる。時々ゴーグルを外し霜をとるが、すぐにまた霜はついてしまう。露出している鼻と頬が冷風にさらされて痛くなってきた。凍傷にならないよう時々顔を手袋でこする。

耐風姿勢で風をやり過ごしながらずんずん登ってゆくとナイフリッジ上に細い踏み跡を渡らなければならない個所に出た。姿勢を確保するためにピッケルを刺す部分が心もとない。以前登った時にはこんな場所にトレースはなかったような気がするが、他に踏み跡がない。冬季は先行者が歩いた後がルートになりやすいが、誰かが正規ルートを外して歩いたのかもしれない。ここを超えると一登りですぐに稜線に出るところまで来ている。一旦トレース外して登ることも可能ではあるが、結構な斜度の尾根上で人が歩いていない雪を踏むのもリスキーだ。リッジは幸い短距離で強風が弱まったすきをついて一気に通り抜けてしまえると判断、意を決し、距離にして数メートルを風が弱まった瞬間に一気に渡り切る。思った通りピッケルがまったく頼りにならないので冷や汗が出た。渡りきるとすぐに風が吹きつけ、顔面が痛い。凍傷になる前に目出帽をかぶりたい。そこから稜線まではわずかで一気にこれを片付ける。顔面の露出部を手袋でさすりつつ、歩みを進めほどなく赤岳展望荘に到着。9時20分ごろだった。思いのほか風が強く、撮影はしないで一気に登ったので時間はだいぶ余裕がある。

展望荘に入る前にカメラを取り出し、横岳方面を撮影。

展望荘に入る前にカメラを取り出し、横岳方面を撮影。

休憩なしで一気に来たので赤岳展望荘で長めの休憩をとることにした。展望荘は数年前に一酸化炭素中毒が出てニュースになったことがあり、登山者でない人からは印象の悪い山小屋かもしれないが、厳冬期でも休日営業していて、登山者にとっては強風の稜線上でゆっくり休めるオアシスだ。アイゼンを外してから小屋に入り、小屋番に甘酒を注文する。ゴーグルについた霜を拭う。鼻の頭と頬は大丈夫そうだ。行動食のビスケットを甘酒でゆっくり溶かしながら食べる。うまい。20分ほど休んでから目出帽で顔面の露出部をなくして外に出る。ここから先も風にあたりっぱなしだが山頂までは残り30~40分といったところで時間はだいぶ余裕がある。のんびり写真をとりながら登ることにし、カメラを首にかけて出発する。

展望荘を出て少し歩いてから赤岳山頂方面を撮影。

展望荘を出て少し歩いてから赤岳山頂方面を撮影。

展望荘からしばらくは突風にあたりながら斜面を登ってゆく。ピッケルが効かせやすく、多少の突風はたいした苦にはならない。頂上までの標高差は200mくらい。時々足を止めて前方の赤岳を撮影する。シャッターが凍ってしまって中々下りない。頂へ向かうルート上に先行者が4人が見える。山頂付近は風が吹き付けるたびに雪煙が舞っている。

稜線上からは富士山も良く見える。

稜線上からは富士山も良く見える。

稜線上から諏訪側を望む。写真中央左に諏訪湖、その向こう山塊は中央アルプスだろう。

稜線上から諏訪側を望む。写真中央左に諏訪湖、その向こう山塊は中央アルプスだろう。

あとわずかで山頂神社に到着。

あとわずかで山頂神社に到着。

やはり風が強い。目出帽をかぶっているので顔面の凍傷の心配はないが、鼻と口の部分は凍っている。ゴーグルは相変わらず息でつく結露が凍り付いて霜になってしまい視界は狭い。

展望荘を出て40分ほど登ると赤岳山頂に到着。

展望荘を出て40分ほど登ると赤岳山頂に到着。

山頂着。標高2,899m。山頂には赤岳山頂神社がある。お賽銭を供えて今年一年頑張れることを祈願。

山頂から南側を見ると手前に権現、奥には南アルプスの山々が見える。

山頂から南側を見ると手前に権現、奥には南アルプスの山々が見える。

雪が多いときは上写真の左手前の露出してる岩も雪をかぶることがある。一度だけそのタイミングの時にここに来たことがある。それは美しい光景でもう一度見たいが今、それは次回以降の楽しみだ。

山頂回りの風の当たらないところでしばし休憩。テルモスに用意した甘い紅茶で糖分を補給する。休んでいる間に文三郎尾根から続々と登山者が山頂に到着。やはり地蔵尾根経由よりも文三郎尾根から登って来る登山者の方が多い。何組かに記念写真を頼まれる。20分ほど景色を堪能してから下りにとりかかかる。

下りに使う文三郎尾根は頂上から中岳への分岐までが核心部分。その間はカメラをザックにしまって慎重に下ることにする。その後、中岳の分岐から文三郎尾根の筋にでるまでのトラバース気味に下る部分は雪が多ければひょっとしたら小雪崩が起きやすいと想定していた。山に入る前に近くの山小屋のブログで最近湿雪が降ったことと、昨日までは気温が低くさらさらの雪が降っていたので、固まった湿雪の上で滑り落ちやすい粉雪がある程度積ると雪崩れやすくなる。フェイスブック上で八ヶ岳に行くことを記事にしたら以前の会社の同僚で登山者でもあるO氏からも「雪崩れる場所があるかも。要注意」とのコメントももらっていた。だが、ここまでの登りで思ったより雪はついていないかったので今回は大丈夫だ。

頂上から20分ほどピッケルを駆使して、ゆっくりと降りてゆく。斜度がある場所では後ろ向きになりしっかり支点を確保しながら下る。途中で先行者二人を追い抜いたが、山頂にはいなかった人だ。聞くと、文三郎尾根を登って頂上直下まで来ていたが、相方の力量から今回は登頂をあきらめて下りに転じたばかりという。二人はアンザイレンでお互いを確保しながらマイペースで下っているようだ。中岳との分岐までは先行させてもらってさっさと降りる。分岐までくればあとは難しいとところはない。カメラを出して今度はゆっくりと景色を楽しみながら歩みを進める。

中岳分岐から少し下ったところで分岐方面を振り返る。右奥に分岐の標識が見える。太陽がかなりまぶしいので、暗め設定で撮影。実際は雪面に光が反射してかなりまぶしい。

中岳分岐から少し下ったところで分岐方面を振り返る。右奥に分岐の標識が見える。太陽がかなりまぶしいので、暗め設定で撮影。実際は雪面に光が反射してかなりまぶしい。

ずんずん下りながら時々振り返ってさyシンをとる。左上の岩の上方に赤岳の山頂がある。

ずんずん下りながら時々振り返ってさyシンをとる。左上の岩の上方に赤岳の山頂がある。

文三郎尾根から横岳方面を望む。

文三郎尾根から横岳方面を望む。

さらに下って再び横岳方面を見る。赤矢印のところは登りに使った地蔵尾根の途中。登山者が3人取りついている。

さらに下って再び横岳方面を見る。赤矢印のところは登りに使った地蔵尾根の途中。登山者が3人取りついている。

文三郎尾根。登山者が多くトレースがはっきりしている。

文三郎尾根。登山者が多くトレースがはっきりしている。

下りに使った文三郎尾根は地蔵尾根に比べ登山者が多く、トレースもよりはっきりしていた。あっという間に樹林帯に入る。行者小屋につく少し前で降りてきた道を振り返った。

樹林帯まで下りてきた。

樹林帯まで下りてきた。

12時過ぎに行者小屋に到着。時間はだいぶ余裕があるので、大休止。目出帽脱ぎ、ピッケルをしまう。

時間に余裕があるので行動食ではなく、非常食に持ってきたラーメンを作って食す。帰りの荷物を軽くするためでもある。ペットボトルの水は半分凍っていたが、荷物を軽くしたいので無理やり割って使った。気温が低いせいか湯を沸かすのに15分ほどかかってしまった。

ザックにしまっていたペットボトルの水は凍っていた。

ザックにしまっていたペットボトルの水は凍っていた。

作ったラーメンもあっという間に冷めていってしまうので速攻ですする。でも残った汁はあっという間に凍ってしまった。

13時前にバス停に向けて下山開始。気持ちよく晴れているのでカメラを首から下げてシャッターを切りながら進む。

森が雪をかぶっていい具合。

森が雪をかぶっていい具合。

上の写真は行者小屋を出てしばらくの開けた場所で撮影。ここまで写真は満足したのでカメラをしまって下り道を急ぐ。

行者小屋を出てから休憩なしで一気に美濃戸山荘まで歩く。ここでアイゼンを外し、テルモスの紅茶を飲み干した。あとは美濃口のバス停まで一時間弱。バス停前の山荘で風呂にはいれる。ゆっくり風呂につかりたいので歩みを速めて40分ほどでバス停到着。

同じくらいに到着した登山者とともに風呂に入る。温泉ではないが、下山直後に風呂にはいれるのはありがたい。

さすがに予定の行程をすべて終えると疲れも感じるが、まだ余力がある。少し鍛え直せば縦走も行けそうだ。

新しく仕事を始めたばかりなのでこの正月の山行はぎりぎりまで実行を悩んでいたが、やはり行ってよかったと思う。ソロでの雪山は考える時間も多いし、一方で集中する瞬間も多い。「山を下りてからどうするか」と自分の考えを整理すると、これから取り組むべき方向性がはっきりしてくる。一方で難所越えの瞬間の気持ちの集中や、美しい景色はよい気分転換になる。自然相手の挑戦だから社会生活でのしがらみで行動制限しなくて済む。その中で味わえる「達成感」はシンプルで原点的なものに思える。来年も余裕があれば正月登山を計画したい。

このブログはギターに関してのウェブサイトですが、リクエストもあったので、気分転換も兼ねて正月1日、2日に行った山登りの記事をアップすることにしました。今回はギターの話はお休み。今日は前編です。

2015年正月 八ヶ岳 赤岳登山 前編

2年ぶりに八ヶ岳の赤岳に登頂してきた。赤岳は標高2,899mで八ヶ岳の主峰。冬季だけで20回以上登っている。以前は赤岳だけでは物足りなくて硫黄岳、横岳、阿弥陀岳と合わせた縦走を主体にすることがほとんどだった。時間が取れたときはピラタスロープウェイから入山、縞枯~麦草峠~天狗岳~夏沢峠~硫黄岳~横岳~赤岳~阿弥陀岳という冬季八ヶ岳フルコース縦走もやった。比べて今回は赤岳だけの計画。2年ぶりとなる厳冬期登山で、しかも登山そのものからしばらく遠ざかっていたので体力的にも怪しく、休みも2日間に限られていたので縦走は見送った。

今回のコース。美濃戸から南沢経由で行者小屋へ、そこで一泊、翌日地蔵尾根から稜線にあがり赤岳山頂を踏む。下山は文三郎尾根から行者小屋へ下り、南沢経由で下山。

今回のコース。美濃戸から南沢経由で行者小屋へ、そこで一泊、翌日地蔵尾根から稜線にあがり赤岳山頂を踏む。下山は文三郎尾根から行者小屋へ下り、南沢経由で下山。

天気予報では「大晦日から元旦にかけて荒れる」という予報だったが、八ヶ岳は日本海側が荒れていても晴れることが多い。また、予報通り大晦日から元日にかけて荒れるのであれば、登頂予定日の2日に程よく新雪をかぶった状態での晴れ間がでて、景色も最高になると踏んだ。

1月1日

自宅を朝6時に出発、船橋駅から特急あずさに乗り込む。

事前の天気予報では「大晦日から元旦にかけて荒れ模様」ということだったが、甲府を過ぎたあたりからようやく雪がちらつきだした。しかし、吹雪って程でもない。下車駅の茅野もチラつく程度。ただ、気温は例年より低い。茅野からはバスで登山口の美濃戸口へ。バスの乗客は7名。意外と多い。比較的遅い時間の便だったので、もっと乗客が多いハズの前便のことを考えると思っていた以上に入山者は多いようだ。天気予報では年末年始の山岳部の荒れを盛んに呼びかけていたのでもっと少ないと思っていた。

美濃戸口には11時過ぎに到着。雪は降っているがたいしたことはない。ただ気温が低いので、普段の山行よりも厚着した。登山口に備え付けられている登山届に今回の計画を記入、提出。同じバスで来た登山者はさっさと出発してしまっていたが、こちらは久々の登山なので準備運動を入念に行い、甘いものを口にしてからのんびりと出発。体重が増え、筋力が衰えていることも否めないので、初日の今日の様子次第では行者小屋から上には行かないつもりもあった。情けないが、トレーニング不足は否めない。出発は12時頃になった。

普段より厚着なので汗をかきすぎないようにかなりペースを抑えて歩く。途中下山してくる登山者とすれ違った。「こんにちは」とあいさつを交わすのは夏山と同じ。人数はいつもの正月よりは少ないが、それでも10人以上とすれ違った。やはり思っていたよりは多い。この分だとルート上の雪がしっかり踏み固められていて歩きやすいだろう。

美濃戸山荘に13時ごろ到着。雪は止んでいるが、空はどんより曇っている。10分ほど休憩。チョコパンを山荘でサービスしてくれるお茶で流し込み出発。

美濃戸山荘からは南沢にルートをとる。

山荘を出てしばらくは沢沿いの樹林帯を上ってゆく。雪がしっかり踏み固められていて歩きやすく、すいすい登れるが、汗をかかないように意識してスピードを抑える。勢いよい流れだった南沢も登るにつれて、細い流れになってゆく。ルートは右岸から入りすぐに左岸に移り、また右岸に移る。以前来た時にはなかった立派な橋が架けられていた。それからは右岸の斜面につけられたルートをガシガシ上る。100mほど標高を稼いだところでカメラを出す。

南沢を少し登ったところでカメラを出す。レンズが曇ってしまった。

南沢を少し登ったところでカメラを出す。レンズが曇ってしまった。

美濃戸山荘から沢を何度か渡った後しばらくは右岸の斜面を登ってゆく。しばらくは上の写真のような樹林帯がつづく。

右岸を登って行き、何度かつづら折りをこなしてゆくと樹林の様子も変わってくる。

右岸を登って行き、何度かつづら折りをこなしてゆくと樹林の様子も変わってくる。

少しずつ頭上が開ける場所が多くなる頃には、沢筋の水はもう雪に埋まって見えなくなっている。

少しずつ頭上が開ける場所が多くなる頃には、沢筋の水はもう雪に埋まって見えなくなっている。

背の低い細い木々は雪の重みで倒れ込み、登山道を塞いだり、ちょっとしたトンネルを作っている。

背の低い細い木々は雪の重みで倒れ込み、登山道を塞いだり、ちょっとしたトンネルを作っている。

上の写真のような木々のトンネル抜けてずんずん進んでゆくと雲が薄まってきて森の中が明るくなった。

雲が薄くなり森の中が明るくなった。

時折雲が薄くなり森の中が明るくなった。

このあたりまで来て気づいたのだが、高度計が進むのが遅い気がする。のんびり歩いているからだけではなく、天気が回復基調にあって気圧が上がっているからだろう。雪が固まっていてフラットな道は夏よりもはるかに歩きやすい。雪山というと、「危険」「遭難」というイメージが付きまとうが、八ヶ岳は厳冬期でも入山者が多く、トレースがしっかりしている場合が多く、ある程度経験があればそうそう迷うことはない。

時々雪がちらつくが雲は薄い。時々太陽が透ける。

時々雪がちらつくが雲は薄い。時々太陽が透ける。

右手に阿弥陀岳が見えるようになってきた。雪の流れが速い。稜線は強風だろう。

右手に阿弥陀岳が見えるようになってきた。雪の流れが速い。稜線は強風だろう。

行者小屋まであとわずか。正面にうっすら見える山が赤岳。

行者小屋まであとわずか。正面にうっすら見える山が赤岳。

15時半ごろに行者小屋着。

15時半ごろに行者小屋着。右の山は阿弥陀岳、その左隣が中岳、さらに左隣が赤岳の文三郎尾根側の斜面。

夏場のコースタイムくらいの時間で行者小屋に到着。ここまで雪も締まって歩きやすかった。この日、小屋泊の登山者は数人。テントの方が多い。

ここまでの行程で予想よりも登山者は多かったのだが、小屋は空いていた。八ヶ岳は雪山入門者にも取り組みやすいコースが多く、正月などは混雑することも多いが、天気予報の脅しが効いたのか、今年は比較的コアな登山者しか来ていないのかもしれない。小屋泊数人に対して小屋前のテント場には15張りほどのテント。気温は氷点下15度を下回っていた。

今夜の寝床。人が少ない山小屋は快適。

今夜の寝床。人が少ない山小屋は快適。

小屋には小学生くらいの子供が二人いた。たぶん、小屋番の子供達。お隣(といっても30分以上歩く)の赤岳鉱泉や、もっと標高の高い場所にある黒百合ヒュッテにも小屋番の家族が正月休みに登ってきて小屋番である父や母と一緒に過ごしていることはよくある。世の若いお母さん方から「冬山に子供を来させるなんてトンデモナイ!」とか言われてしまういそうだが、ここまでの道のりは雪国育ちで多少の登山経験があれば子供でも問題ない。家でつまらないテレビを見たり、やたら混雑しているところへ初詣に行って数秒お祈りしてあとは退屈な正月をやりすごす・・・よりはよっぽどいい。子供だったら冬でも外で活動すべし。

18:00に夕食。普通に山小屋の食事。豪勢ではないけど、しっかりカロリーを消費して登ってきているのでうまい。食後外の様子を見に出る。気温はかなり低い感じだが、空は明るい。星が見えるわけではないが、小屋到着後も気圧が上がり続けている。この分なら明日は予想通り晴れるだろう。

夜。小屋の入り口の内側も凍り付いている。

夜。小屋の入り口の内側も凍り付いている。

消灯は20:30。普段はまだ店を開けている時間で、寝付けるものではないが、この1年を思い返したり、今年どうしてゆくかなど、考えを整理し、思索するには良い時間になった。ここ10年くらいは登山中のこうした時間が自分の人生の貴重な作戦タイムのようになっている。冬山とはいえ、明日は日が差してからゆっくり行動開始する予定なので、あわてて眠る必要もなく、あれこれ考えをめぐらしているうちにあっという間に12時を回った。寝たのは2時を過ぎていたと思う。

翌日1月2日朝、予想とおりの天気。

翌日1月2日朝、予想道理の晴れ間がでた。

後篇へつづく。