10月, 2016 のアーカイブ

先日からメンテ中のルシール、本日メンテ完了。

先日からメンテ中のルシール、本日メンテ完了。

前回、電気系中心の話で取り上げたGibson Lucilleのメンテ本日完了。今回行ったのは

①トグルスイッチ交換(+ショート箇所の特定と処置)⇒前回記事参照

➁フレット擦り合わせ

擦り合わせ後のフレット。あと、バインディングとフレットの端の間が弦が落ちるくらいの隙間になっていたのでそこを埋める処理。写真でも光の反射で隙間がいるのがわかるかと思います。

擦り合わせ後のフレット。あと、バインディングとフレットの端の間が弦が落ちるくらいの隙間になっていたのでそこを埋める処理も行いました。写真でも光の反射で埋めた部分がわかるかと思います。

③ナット交換

ナットは牛骨のブランク材を削り出して作りました。写真左がブランク材。右が今回作ったナット。

ナットは無垢牛骨のブランク材を削り出して作りました。写真左がブランク材。右が今回作ったナット。この後ギターに接着して弦を張り弦溝を切ります。

取り付けたナット。牛骨材は磨くと表面に光沢が出ます。

溝切リ、表面仕上げまで完了したナット。弦間ピッチは弾いた時の違和感がないようにオリジナルのものと合わせて7.1mm間隔としました(ギターによっては低音弦側を少し広めに取ったりすることもあります)。牛骨材は磨くと写真のように光沢が出ます。

④ペグ交換

ペグはGOTOHのマグナムロックに交換しました。今回は木部の加工は一切なしで取り付けてできています。

ペグはGOTOHのマグナムロックに交換しました。今回は木部の加工は一切なしで取り付けできています。オリジナルはグローバー。

⑤ブリッジ交換

ブリッジもGOTOHの新品に交換。テールピースの汚れ取りもおこなっていますが、元々のゴールドメッキがすっかり落ちて下地の色となっています。ファインチューナーが意外と便利です。

ブリッジもGOTOHの新品に交換。テールピースの汚れ取りもおこなっていますが、元々のゴールドメッキがすっかり落ちて下地の色となっています。FRTトレモロ付きのギターのイメージが強いファインチューナーですがこういったギターでも意外と便利。

Gibson Lucille、FホールのないES-355のようなギターです。「ひょっとしたらソリッド?」と思わせる外観ですが、355などと同じくボディの両サイドは箱構造。バックパネルがあるので電気パーツにアクセスしやすく、通常のセミアコに比べて電気部分のメンテはやりやすいですが、前回の記事の通り何しろ複雑なシステムを積んでいて、配線が入り組んでいるので簡単には行きませんでした。でもやっぱり普通のセミアコに比べれば扱い易いかな?

ボディバックに電気パーツにアクセスできるパネルがあります。

ボディバックに電気パーツにアクセスできるパネルがあります。

前回の記事のショートしていた部分。

前回の記事のショートしていた部分(見てもわからないけど・・・)。一つのポットの上に5本のメタルネットワイアーが半田付けされています。赤矢印部分はアースに使用することの多い裸線でぐるぐる巻きにしたうえでハンダ付けされていました。Gibsonの苦心の跡。

音出し確認。バリトーンスイッチでかなり音が変わるのが面白いです。

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フレット擦り合わせ、パーツ交換等でお預かりしているGibson Lucille。

フレット擦り合わせ、パーツ交換等でお預かりしているGibson Lucille。

たまたまですが、先日のES-345に引き続いてバリトーン回路搭載のステレオ出力Gibsonセミアコです。フレット擦り合わせに加え、ナット、ペグ、ブリッジ、トグルスイッチの交換等の依頼で預かっているギターです。ES-355のfホールをなくしたようなデザインで、バックパネルがあり、通常のセミアコに比べると配線作業はやりやすい・・・とたかをくくっていたのですがそうはいきませんでした。下の写真のとおりバリートン回路+ステレオ出力の本機は(おそらくはオリジナルと思われる)配線も入り組んでおり、古いトグルスイッチを取り出して新しいものに配線し直すだけでも結構手間がかかりました。加えてショートが起こっている部分もありその箇所の特定も難航。なんとか探し出して対処できました。

今回のショートですが、各部確認していって最終的にPOTに半田付けしているメタルネットのほつれた線の一部がメタルネット内のクロスワイアーの絶縁クロスを突き破ってフロントのHOT線にショートしていたことがわかりました。あるいはもともと絶縁クロスが痛んでいた部分があったのかも・・・。取り合えず、そのメタルネットのほつれ部分を切除し、配線の位置も少し移動、多少パーツが動いてもショートしないようにしました。普通はこんなことは中々起こらないことで最初はびっくりしたのですが(なので、なかなか場所を特定できなかった)、改めて見てみるとかなり入り組んだ配線で、メタルネットワイアーの本数が多いのと、それらを半田付けする箇所・量が多く、かなり苦心して配線したギターだという事がわかります。考えようによってはかさばるメタルネットワイアー以外もうまく使って配線を整理したほうが回路の信頼度は高くできて安心ですが、この辺はGibsonの拘りなのかも。取りあえずショートの件は持ち主さんに要報告・要相談です。

スイッチ交換の作業中。右が新しいスイッチ。レスポールや335など一般的なGibsonの2ハムギターと同じスイッチですが、つなぎ方は独特です。

スイッチ交換の作業中。右が新しいスイッチ。レスポールや335など一般的なGibsonの2ハムギターと同じスイッチですが、つなぎ方は独特です。

lucilleのキャビティ内。非常に入り組んだ配線がなされています。

lucilleキャビティ内。非常に入り組んだ配線がなされています。線がちょっと短すぎるところと長すぎるところが混在しています。メタルネットワイアーをPOTに半田付けしている部分は335などの普通のギブソン2ハムの配線に比べるとまとめる線の本数が多くてハンダも山盛り。そしてそれぞれのメタルネットワイアーがショートしないように絶縁もかぶせてあります。そこまでしてメタルネットシールド線にこだわるのがGibson流?きっとGibsonの作業員も滅多に扱わないタイプの配線で苦心しているのでは・・・。

 

バリトーン回路の一部分はリアPUキャビティ内に固定されています。

バリトーン回路の一部分(おそらくチョークコイル)はリアPUキャビティ内に固定されています。緑の線はロータリースイッチの基盤につながっています。黒の線はこのチョークコイルと思われるパーツのシールドカバーにいったん半田付けして茶の線でアースに落とされています。

これは先日メンテしたES345のバリトーン回路。今回のLucilleと同じ回路です。

これは先日メンテしたES345のバリトーン回路。今回のLucilleと外観・配線は同じ。やっぱり上写真のような入り組んだ配線でした。

今回のLucilleの電気部分は前回メンテしたES-345と同じ。上写真のシールドカバーで覆われた四角のパーツはおそらくチョークコイルで各PUに対してひとつづつとなっていると思われます。ロータリースイッチの2枚の基盤もそれぞれのPU用に割り当てられているものでしょう。キャパシターはなく、この基盤上でキャパシタの役割を担っているのだと思います。このあたりは現代化されていて面白いです。この回路がデビューした時代はまだこのような小基盤化は難しかったので、たくさんのキャパシタ―を手配線してさらに大変だったのでは・・・。

ジャック部分。両方につなぐとそれぞれのPUを別個に出力でき、左側だけつなぐと(中の配線はまるで違いますが)通常の2ハムと同じ出力になります。よくこんな配線を思いついたなぁと感心します。

ジャック部分。両方につなぐとそれぞれのPUを別個に出力でき、左側だけつなぐと(中の配線はまるで違いますが)通常の2ハムと同じ出力になります。最初にこの配線を考えた人、よくこんなの思いついたなぁ。

ES-335の上位機種ES-345を1vol.1Tone化。

ES-335の上位機種ES-345を1vol.1Tone化。

バリトーン回路搭載でステレオ出力、2Vol.2ToneのES-345を持ち主さんのご要望「外観を変更せずにモノラル出力、1Vol.1Tone仕様」に回路変更しました。もともとのフロントPUのVol.&ToneがMaster Vol.&Master Toneになっており、バリトーンスイッチとリア側のVol.&Toneはダミーになっています(下写真)。

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この配置に変更することで回路自体はかなり省略化されてシンプルになります。

取り出したバリトーン回路。左のごついパーツはボディのfホール側の空洞ではなくPUキャビティの底にネジ止めされていました。こいつと右上のロータリースイッチだけで150gくらいあります。

取り出したバリトーン回路。左のごついパーツはボディのfホール側の空洞ではなくPUキャビティの底にネジ止めされていました。こいつと右上のロータリースイッチだけで150gくらいあります。

取り外したバリトーン回路がなかなかの重量級でギターの軽量化もなされたことと、回路もシンプルに、配線距離も短くなったので元々に比べると音も元気になって抜けも良くなっているのではないかと思います。

ジャックは2つ。元々は両方につなぐと2つのPUを独立して出力できるようになっていましたが、今回どちらも同じに配線変更。ジャックは消耗部品でもあるのでライブなどで片方が調子悪いときに心強い?

ジャックは2つ。元々は両方につなぐと2つのPUを独立して出力できるようになっていましたが、今回どちらも同じに配線変更。ジャックは消耗部品でもあるのでライブなどで片方が調子悪いときに心強い?

いつも泣きそうになる箱物エレキの配線作業の様子。PUキャビティやfホールから取り出した各パーツを外で配線してから再び同じ経路で中に戻します。当然手は届かないので写真のように紐で釣り上げて根性で取り付けてゆきます。今回は中につけるワッシャーを一か所入れ忘れていて泣きながらやり直しも・・・油断しているとパーツを引っ張り上げる紐同士で絡まったりなんてことも・・・

いつも泣きそうになる箱物エレキの配線作業の様子。PUキャビティやfホールから取り出した各パーツを外で配線してから再び同じ経路で中に戻します。当然手は届かないので写真のように紐で釣り上げて根性で取り付けてゆきます。今回は中につけるワッシャーを一か所入れ忘れていて泣きながらやり直しも・・・油断しているとパーツを引っ張り上げる紐同士で絡まったりなんてことも・・・

ギブソンの箱物ギターの場合、コントロール部のパーツは上の写真のように紐などで釣って取り付けてゆきます。今回は元々複雑だった回路をシンプル化する改造だったので比較的簡単な部類でしたが、これを元の回路に戻すのは・・・考えただけでオソロシイ。

サウンドチェック⇓

 

 

非常にレアな70年代Navigatorのレスポール!

非常にレアな70年代Navigatorのレスポール!Gibsonにはない渋い色合い!

日本が誇るエレキギターメーカーESPが勃発したのは70年代。その初期の頃に製造されたLes Paul Customタイプ(上写真)のフレット交換をさせていただきました。流通していた数が非常に少ない珍しい機種で、僕自身実機に触れるのははじめてです。こういったギターが好きなマニアの方もおられるのでは・・・

フレット交換をしました。

フレット交換をしました。指板の修正も少ししています。

ナットはブラスナット。フレット交換に際し新調しています。持ち主さんはJohn Sykes好き?

ナットはブラスナット。フレット交換に際し新調しています。持ち主さんはJohn Sykes好き?

今回はフレット交換だけやらせていただきました。持ち主さんは新品で購入されて現在に至るまで所有されていて改造の痕なども見られますし、ネック折れの修理の履歴もあるいわば戦友のようなギターなのかも。

この時代はまだ堂々とダイヤアモンドインレイ!トラスロッドプレートにもLes Paul CUSTOMの文字。

この時代はまだ堂々とダイヤアモンドインレイ!トラスロッドプレートにもLes Paul CUSTOMの文字。

動画も撮ってみました。

PUはESP製のオリジナルでしょうか。カバーは取り外されています。ブリッジはゴトーで現行でも同じタイプがあります。通常と反対向きについていますが、これはお預かりした時からそうだったのであえてそのまま。好みの問題ですね。

PUはESP製のオリジナルでしょうか。カバーは取り外されています。ブリッジはゴトーで現行でも同じタイプがあります。通常と反対向きについていますが、これはお預かりした時からそうだったのであえてそのまま。好みの問題ですね。

今回フレットとナット、指板以外はいじってないのですが電気系などを改めてみるのも面白そうでした。なので電気系もちょこっとのぞいてみました。

おそらくPOTは国産。面白いのはキャパシタ。通常のレスポールタイプよりも容量が多い(ストラトに使うような容量のもの)オイルキャパシタになっています。この辺、制作者もこだわったのでは。

おそらくPOTは国産。面白いのはキャパシタ。通常のレスポールタイプよりも容量が多い(ストラトに使うような容量のもの)オイルキャパシタになっています。

ピックアップはおそらくESP製のオリジナルですが、年代を経て弾きこまれてきた個体なので生音の性質を反映しやすいPAF系に交換したらどうなるか興味深いです。レスポールは内部の配線の距離が長いので、配線をやり直してみたりも面白そう・・・おっと、僕のギターじゃなかった(笑)